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「水はコップに入れるとコップになる。ボトルに入れるとボトルになる。水に流れることも、衝突することもできる」

September
/ Earth, Wind & Fire

Earth Wind and Fire September
踊るその影は愛のカタチ
 ディスコ・ミュージックを聴くたびに思う。やはりディスコというだけあってハイ・テンションでとっても元気な歌が多いことはわかるのだが、どの歌も、未来の話になると極端に気弱になってしまうところがある。しかしそれにしても、自分たちの歌の始末の仕方すらわからないのか(そんなに近くの未来すら、という意味だ)、ほとんどの楽曲がフェード・アウトで立ち去る設定になっているのが、ディスコ・ミュージックという音楽の持つなんともいじらしい性格のひとつであることも確かなのだが(お気に入りの歌でプレイリストを作ったらシェリル・リン以外は全部フェード・アウトだった)。でもそれはきっと、朝が来ればお開きになってしまう、永遠に踊り続けられるわけではない、と賢く割り切っているからというわけでもないのだろう。ただそれは、太陽に向かって走れ、それでも明日はやって来る、のような無責任なことを、ディスコの当事者たちは歌おうとしていないだけのことだ。そしてだからこそ、彼らは執拗に「リメンバー」を歌う。思い出すということ。それこそがディスコにおける絶対最強の解放。誰にも教わったことのないステップを踏むことができる。頭に記憶がないからって、初めてのこととは限らない。それはきっと、身体だけが憶えていたステップ。だって僕たちは、方法なんて誰にも教えてもらっていないはずのに、上手に夢をみる。誰かを、すきになる。
 九月になると注目されるお馴染みの歌、というイメージがあるが、この歌で歌われているのは、実は十二月のある夜のこと。この歌に限らず、ディスコ・ミュージックのお気に入りのイントロが流れ始めると、無性に胸が躍ってしまう。そしてあの、ペペペペンペンに続く第一声は、もちろん歌詞カードなんて見る必要もなく、「ドゥ・ユー・リメンバー?」に決まってる。慣れ親しんだ関係でも、何度も何度も、思い出せる。遊んでいると、踊っていると、いったいどちらがどちらに合わせて踊っているのかお互いにわからないまま、それでも踊り続けてる。まるで、楽しい会話がいつだって滑らかに話題を摩り替えて、結局どうしてそういう話題に行き着いたのかわからなくなるみたいに。それでも踊り続けることができる。話し続けることができる。それは記憶にないだけで、ずっと最初から共有していたリズムとステップだからだ。それを一緒に、思い出している最中。そのまま踊り続けていたら、またいつの間にか、外の桜は満開になって(思い出すんだから、いまの季節はいつだっていいだろう?)、曇り空は晴れている。夜になれば、だいすきな星を数えることもできるだろう。

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13:48 | 音楽 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑
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