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2010年ベスト・ソング①

First Love
from the album "Sex Dreams And Denim Jeans"
/ Uffie

Uffie-Sex Dream
過去がセピア色だったことなんてなかった
 人並み外れたルックスと独特のセンスでもって2010年のダンス・シーンを盛り上げてくれたフレンチ・ハウスの歌姫、アフィ。シングル発表から数年のブランクを経て昨年発表されたデビュー・アルバムの中から、この曲を選んだ。ファースト・ラヴという限りなく幻想に近い囚われが歌われたこの曲。自分がこれにとんでもない魅力を感じるのは、「ファースト」というナンバリング〈=ファイル整理)がされている、すなわち、色あせる運命にある過去、が提示されているにも関わらず、時代性をもったダンス・ミュージックという音質の都合で(ひどくデジタライズされている、ということだけども)、あたかも劣化しない記憶のようにパフォーマンスされているからだ。慎重に真空パックをして、更に冷凍保存することで、永遠に生き続ける命を手にしたような、愛。しかし、永遠に生き続ける、という条件そのものが、すでに命の定義に反している、と言うこともできる。そしてだからこそ、アフィーの過剰にエフェクトのかけられたヴォーカルは、劣化はしないかもしれないが、アンドロイドのように、血の流れる湿度と温度だけが感じられない。生命を装ったメカニカルな手触り。しかしもしファースト・ラヴの記憶が劣化しないとしたら、どうだろう。どんなディテールも正確に記憶している。それは思い出そうとする必要すらないということだ。インターネットで検索をかけるように、指を鳴らせば即座に引き出すことができる(ネット世界とはそもそも人間の脳の究極の憧れだ)。過去と現在が、同じプログラムの中に共存している。劣化しない過去、それはつまるところ、現在と呼ぶことができるのではないか。君はいまでもここにいる。それなのに涙が流れそうになるのは、それでも本当は君のわがままなぬくもりが欲しいから、かもしれない。すべてを記憶していたいのなら、衰えないプログラムに収納すればいい。テクノロジーの力を借りさえすれば、それは決して不可能なことではない。それなのに、どうしてこうも失われる方を望んでしまうのだろう。そんなことを考えさせる歌だ。
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