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スクラッチで見つかる人もいる

Congratulations
/ MGMT

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君は、僕と同じ言葉を喋る
 まず、タイトルが単なる祝福のみを意味していないところがいい。コングラチュレーションという喜び。それがここでは疑うべき墓標であり、同時に、守るべきおもちゃ箱でもある。立ち止まる暇などないほど高速な世界の、気まぐれな波に流され、飲み込まれ、それでも足元の薄く脆い地盤はどこかへ辿り着こうとしている。漂着した浜辺は二十一世紀。すべてが出揃ったといわれる時代。強靭なシステムとネットワークの張り巡らされたそこでは、すべてが予め告げられる。すべてが揃っているはずなのに何かが決定的に足りない、そんな覚えたての虚無感。慣れ親しんだ「愛」すら記号としての意味くらいしか発揮できない世界で、「コングラチュレーション」にはいったいどれほどの役割が残されているのか。そういうアルバムなんじゃないかと思っている。いったいどう変換すれば「コングラチュレーション」に真摯な言霊を宿すことができるか。すべてが暴かれ、すべてが予め告げられる。それこそがすなわち、「失われる」ということの本質だ。完璧なタイミングは、まだ、どこかに、残されているのか。
 三曲目の“サムワンズ・ミッシング”が好きだ。音楽的に余りにも大胆な変貌を遂げた本セカンドにおいて、深夜の残響のように控えめでいて飛距離をもったサウンド・デザインのなされたこの幻想的な歌は、収録曲の中で前作に最も近い印象を与える楽曲かもしれない。やわらかいキスみたいな囁きの森の中、「誰かがいないような気がするんだ」という真新しい閃きをきっかけに、主人公に圧倒的な光が差す。ロックは、あらゆる葛藤や疑問について、必ずしも絶対的な回答を提示する必要などない。この歌は確かにヒントでしかない。いよいよ開かれた景色を見渡す。でも、そこにいるべき誰かがいないような気がする。「ある」はずのものが「ない」ということ。「ない」ものが「ある」ということ。「コングラチュレーション」の喜びをいかにして取り戻すか。そこに、予め失われた何かがあるということ。その発見が意味することは、僕たちはまだ、どうにかして、こうにかして、誰かと出会うことができるんじゃないかという紙一重の希望。それこそが、あるべきものなどないこの世界で、何かを「取り戻す」ということの本質ではないかと、このアルバムは逆説的に伝えている。

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19:26 | 音楽 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑
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コメント

#
スクラッチできなかった人もいるw
by: ま★ | 2010/09/08 21:12 | URL [編集] | page top↑
# ま★へ
足の甲で十分でしょw
by: 幸大 | 2010/09/15 00:55 | URL [編集] | page top↑

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