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夜は、寝るにはもったいなさすぎる

Barbie Girl
/ Aqua

Aqua-Barbie Girl
偏愛
 終盤に向かうにつれて、なんだか夜が明けてしまうみたいで、どんどん切なくなる。最後にまた、お疲れさんと言わんばかりのセリフが入っているから一層。口の中で大切になめてたアメちゃんがなくなってっちゃうみたい……まあ僕はあんまりデリケートではないので、ガリガリ噛んで食べる人ですけど。タイトルにもあるとおり、イメージはあくまでバービー人形ということになっていて、PVもなんだか嘘みたいなカリフォルニア風の空、元気なオープン・カーに乗って、ついでにリカちゃんのステキなママまで出てきちゃいそうなキュートな色使い……でも僕のこの歌のイメージは夜。明けない夜。ふたりだけで秘密を共有するようなゾクゾクする歌詞。特定の誰かに向けられているとしか思えないエロティックなメロディ。リーナのロリータ・ボーカルとレネーのおっさん声は、歌の中で実際に危うい出会いを再現している。最近では滅多に出会わないけど、まだすべてのメロディが出尽くしたと言われていなかった90年代には、こういう禁断のポップ・ソングが結構頻繁に生まれていた(余談だけど、00年代初頭にはジェニー・ロムっていうユニットが職人レベルのクオリティでアクアの手法をユーロ・ビート風に再現していて、それはかなり魅力的だった。“www.BLONDE GIRL”とか、いまでも忘れられない名曲中の名曲。知らない人がいたらぜひ聴いて欲しい。“ハンキー・パンキー”、“ロビン・ロビン・フッド”……懐かしいなぁ!)。ポップ・ソングにはざっくり分けて二種類ある。みんなが聴けて、みんなが歌えて、そしてそれを前提として、みんなに向けられた歌。これは何のねじれもない健全なポップ・ソング(ジェニー・ロムは正確にはこっち。職人肌過ぎて、個人的な事情の歌じゃないから)。やっかいなのは、みんなが聴けて、みんなが歌えるにも関わらず、必ずしもみんなに向けられた歌ではないという方。近々公開される、ティム・バートンとジョニー・デップのタッグで話題の『アリス・イン・ワンダーランド』の原作だって、立派なおっさんの作者が、親戚の子だか友人の子だかとにかく実在する「アリス」って名前の女の子に異様な愛情を抱いたところから創作のモチベーションは始まっていて、ああ見えてかなり個人的な劣情めいたものを感じさせる話だったりする。ソレンが何を考えてこんな歌を書いちゃったのかまでは知らないけど、久しぶりに聴いてみても、同じような匂いがプンプン漂ってくるよ。愛しくてたまらない女の子と、想像の世界の中でまで出会おうとした男の作る背徳のポップ・ソング。アメちゃんは溶けるようになくなっちゃうし、明けないはずの夜でさえいつかは明けちゃうけど、ボタンひとつで何回でも聴けるから音楽はやっかいだよね。気付いたら朝だし。

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