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もうLOVEマシーンはいらない

10 MY ME
/ モーニング娘。

モーニング娘。-10 my me
未来は、もはや過去の中にはない
 今年三月に発表されたばかりのモーニング娘。通算十枚目となるオリジナル・アルバム。「ジュウ・マイ・メ」ってこのタイトル・センスどうなの?とさっそく寒いが、アルバム・タイトルのセンスのなさには定評のあるモーニング娘。なので、そこは愛嬌。本作に関するオフィシャルなコメンタリーを読んで一番印象的だったのは、本作が、これまでのモーニング娘。とは違う、明らかな新機軸を打ち出そうとしたアルバムだということを、やけに強調していたところだ。モーニング娘。は、基本的にはうるさいガールズ・グループだと思う(いっぱいいるのに静かで暗い連中なんていないだろうし、いてもイヤだけど)。Wow×4でHo~ほら行こうぜで乾杯BABY!ないわゆる「全盛期」と呼ばれた頃は特にそうで、テレビに出てもひとりひとりのキャラクターは明白、いい具合にとっちらかっていて、その姿は観る者に「モーニング娘。」のイメージを鮮やかに記憶させた。近年のモーニング娘。には、もうそのころの魅力はない。和気藹々としていて楽しげなのはわかるが、いびつな破綻がないのだ。破綻とは、それそのものがすでにひとつの刺激的な魅力である。綺麗にまとまっているだけでは、やはり退屈なのだ。OGメンバーと一緒にテレビ出演をしては露骨に「勝てていない」と指摘される現役モーニング娘。は、まさにその退屈なエンターテインメントのど真ん中にいる。そして、そこでこのアルバムである。かなり意識的なレベルで、「あの頃」のモーニング娘。の物語とはまったく別の座標への転置を図った素晴らしいアルバムである。もう、「あの頃」を再現しようとすらしていないのだ。面白い破綻ではなく、凄まじく完成度の高い全体、とでも言おうか。退屈なまとまりも、ここまで密度が高ければそれはそのままひとつの強烈な説得力へと変わる。プロデュースの力が半端ではないのだ。アイドル・ポップが外側へと発散されるエネルギーだとしたら、このアルバムに集められた楽曲はむしろ身体の内側へと叩き込まれる高度なダンス・ミュージック。瞬発的に放射的で、でもだからこそ爆発的なうなりを感じさせたかつての「ノリ」に代わる武器としてモーニング娘。がここで手に入れたものは、ひとつの全体を形成するための集中力によってこそ生み出される堅実な「グルーヴ」。モーニング娘。のキャリアに巨大な隆盛をもたらした“LOVEマシーン”のレコーディング風景を見たことがあるのだけど、僕はそのとき初めてつんく♂は本物の天才なんだと思った。ほとんど悪ノリに近いテンションで録られた歌なのだ(もちろん本人は大真面目なんだろうけど)。無自覚に放出されるお喋りな才能が沈黙するとき、眠っていた意識を働かせ始めるとき――。モーニング娘。は、もう革命の中心にいなくていい。そこにはまた、もうひとつの未来があったのだ。

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