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ロマンスは僕と君だけのものだ

Romance Is Boring
/ Los Campesinos!

Los Campesinos-Romance Is Boring
宗教なき世界、トイレの隅っこにて
 ロス・キャンペシーノス!というバンドは、ものすごく、厄介なところから始まったバンドである。それは、すべてが敗北した場所。夢は必ず破れ、愛が引き裂かれる場所。大人たちが教えてくれた真実とやらは、テレビやネットを通じてことごとくその嘘を暴かれていく。アイドルの笑顔に騙されることができない。人を救うという意味において、宗教は年収にすら負ける。信仰を持たないのではなく、そもそも信じられるものがない。そして、それこそが21世紀という時代なのだと。だから彼らは自分たちが手に取ったロックという手段にさえ、始めから救いを求めなかった。ロックは人を救わない。彼らのロックはいつだってそこから始まっている。彼らのロックを埋め尽くした膨大な言葉には、例えば教科書や聖書のような絶対的真実とされるようなことがらは何ひとつ含まれない。非常に観念的、すなわち、ある意味では実態などどこにもない、詭弁とも取れる刺激的な嘘の羅列である。メンバー・チェンジを経ての通算三作目となる本作でもそれはまったく変わっていなくて、だからこのアルバムの主人公には、一曲目から早くも「死」が約束されている。終わらないものなど、どこにもないのだ。どんなに強靭と思われた真実も、たったひとつの亀裂でたちどころに嘘に変わる。そしてそれは愛すらも例外ではない。いわゆる「戦後」と呼ばれ続ける時代、愛の正しさを、道徳を聞いて育った世代が、いざそれと対面したときに、上手に振舞えない。愛にさえ疑いの眼差しを向けてしまう。このアルバムに彼らの確かな成長を感じるのは、例えばこれまでの彼らだったら、ロックは人を救えなくていいんだ!という半ば開き直りに近いスタンスしか取れなかったと思うのだが、今回は、それでもロマンスを守ろうとしているところだ。ここに片っ端から書き並べたいくらい相変わらず印象的な歌詞が多いのだが、そのひとつを挙げる。「僕らがこれまで愛したものは、奴らに横取りされてしまった。奴らはそれを引用句と薄っぺらい装飾で飾り立てたんだ」。信じたいものがすべて嘘へと変わっていく時代、それでもたったひとり、君だけは信じ続けたいのに、思い込むことなどできないほど、僕たちは猜疑心を持ってしまっている。大人たちが、ちゃんと騙してくれなかったから。だから彼らはここで、大人たちに薄っぺらい装飾を施されてしまう前に、他でもない自分たちの手で、汚いトイレの扉の落書きレベルにまでロマンスを貶めた。『ロマンスなんて退屈だ』というこの強烈なタイトルは、「ロマンスだけは絶対に退屈であってはならない」という究極のパラドックスである。

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