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僕の頭には「ザ・ストロークス」がついてる

Phrazes For The Young
/ Julian Casablancas

Julian Casablancas-Phrazes For The Young
終わらない音楽の途中
 正直一曲目の“アウト・オブ・ザ・ブルー”を聴いたときにはどうしてジュリアンがわざわざひとりで、ストロークスを離れて、これをやらなきゃいけなかったのかわからなくて、釈然としなかった。アートワークのデザイン性とか、ストロークスから劇的な変化があるわけでもないし、ジュリアンのボーカル、なんか『イズ・ディス・イット』に戻ってないか?とか考えたけど、思い違いだった。めくるめく、芳醇な音楽体験。ストロークスでは絶対に使わなかった楽器多様、エレクトロな戯れまでも見せる。でも、そこにはやはり意味があったのだ、と思わせる。
 ストロークスにとってロックンロールは制約以外の何物でもなかった。デビュー・アルバムの『イズ・ディス・イット』が、完璧すぎるほどに本質的だったから。何ひとつ足し引きすることの許されない、鉄壁のシンプリティ。すべての音にそうあるべき意味と必然があり、これ以上何かひとつでも追加すれば重量崩壊を起こしかねない。ストロークスは肥大したロックンロールがすべてを見失いかけていた袋小路の00年代初頭、すべてをやり直すために、ロックンロールの始まりと終わりの同居する絶対回答を導き出したバンドだった。「完成」を鳴らしてしまったバンドが、その後にいったいどんな責任を果たせるというのか。でも彼らは『ファースト・インプレッションズ・オブ・アース』で、熱く、高らかに明言した。ロックンロールとはそもそも、未完成で構わないコミュニケーションなのだ、と。湯気のようにそこからこそ立ち上るノイズなのだ、と。だからひとりになっても、ジュリアンは歌ってる。ここに詰め込まれた、決してロックンロールの本質にはなり得ない無数の音楽は、歌われ続けることでしか完結しない。そしてそこには、どれだけ声と音に組み替えても狂おしいほどに完結できない何かがあるからこそ、俺はそれを歌わずにはいられないのだ、と。次はストロークス。ジュリアンの旅は終わらない。
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