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面白さ、タランかったら・・・

Hannibal Rising
Hannibal Rising
過去が現在を凌駕するとき
 ハンニバル・レクターという突然変異的モンスター誕生の真実を描いた、ということになっている本作。第一印象としては、「え!? ハンニバルめっちゃ普通の人やん!?」っていう感じ。いやめっちゃ強いし立ち振る舞いの非・人間的さとかはやっぱ異常だけど、でもまだまだ薄い仮面をかぶっているだけというふうで、いかにもハンニバル的な底力の狂気を感じない。っていうか日本刀振り回してるハンニバルってどうなの? ギャップ? インパクト? タランティーノの『キル・ビル』思い出したの僕だけ? とまあツッコミどころは色々とあるけど、戦争で家族を失ったハンニバルが妹の仇を討つために原体験的風景から昇華していく様子が結構それなりの迫真性を持って物語を引っ張っている。本作で描かれている青年期のハンニバル・レクターが、肉体的には強いけど全然怖くないのは、「復讐」っていうめっちゃ感情的な狂気の理由にしてもそうだけど、言動がまったくもって論理付けされていないからだ。ハンニバルの狂気の正体は、それが根本からガチガチの論理で固められていて、例えば社会的規範としては明らかに「狂」でしかないにも関わらず、法や正義だけではどうにも打ち崩せない現実的な強度を持ち得ている、という理不尽なねじれ構造にこそある。アンソニー・ホプキンスの演じたドクター・レクターの台詞に耳を傾けていると、いったい何が正しくて何が間違っていて、もうどうしたらいいのかわからなくなってくる。机上の空論が平面から3Dの現実として立ち上がる恐怖なのだ。でもまあ、失われた妹の復讐っていうのは、ある意味象徴的でいいかも。復讐、をする側の人間の心、が本当の意味で満たされる瞬間、がもし本当にあるとすれば、それは、仇の首をとる、ということではなく、過去に失われたはずのものがそのままの形で現在に復活する、という非・現実に他ならない。要するに、はなから無茶な話なのだ。でも、錆び付いた過去にがんじがらめにされたハンニバルはそれを求める。過去を冷凍保存して、腐敗しないまま現在に再生するみたいに。失われた過去という幻想に血肉の手応えを与えるために、ハンニバルは完璧なまでの論理武装で不可能を可能に変える。

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