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五千分の一の光景

おーい、いったい何回この本読む気だ?

余裕で今までで一番読んだ本だよマジでこれ。

あの子の考えることは変
/ 本谷有希子

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今日も少しだけ、なんとなく、世界がいつもより美しく見える
 ダニー・ボイル監督作『スラムドッグ$ミリオネア』のパンフに本谷有希子が寄稿したものを読んだ時には相変わらずヘラヘラしてんなーぐらいにしか思ってなかったけど、到底物語の主人公にはなり得ないはずのスラム街出身のひとりの男の子の愛の奇跡を描いたあの作品に彼女がああいう形で関わったのは、ある意味では必然的なことだったのかなとも今は思う。ダニー・ボイルの『トレインスポッティング』『普通じゃない』『ザ・ビーチ』も本谷有希子の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『生きてるだけで、愛。』『幸せ最高ありがとうマジで!』も全部、結局のところ言ってることは同じだ。どんなに救いようのない人生にだって必ず希望はある、っていうか笑えない場所なんて実はどこにもない。本谷有希子は、執筆中は完璧に登場人物になりきってるって言われてるらしいけど、要するに彼女の書く物語の登場人物は彼女自身でしかないということだ。あり得ない自意識も狂おしい性欲も凄まじい孤独も。世界に何の役にも立たない変なことばっか考えて、それで自分をがんじがらめにして苦しんでる。彼女の物語に登場するのはそんなどうしようもない人間ばかり。本作に登場する、症候群の存在を信じて自分が臭いと思い込んでいる女の子・日田も、おっぱいだけがアイデンティティーでセフレへの異様な愛を燃やす女の子・巡谷も、もちろんそう。彼女の作品は、そんな社会不適応な登場人物の「生きてるだけで疲れる」の『疲れる』の部分を『、愛。』へと昇華させるためだけにある。文学は学校で習ったりノーベル賞とかもあったりするから高尚なイメージが強いけど、実際は案外そうでもないんじゃねーかと思う。村上春樹が一週間で百万冊売ったからっていったい世界の何が解決されるっていうんだ。そもそも世界に役に立つ人間なんて本当に存在するのか? まあそう言い始めたら身も蓋もないけど、少なくとも文学とか愛とかが世界を救えるとは思えない。でも、あの子の考える変なことだって、誰かひとりくらいは笑わせられたっていいんじゃない?ってこと。だから僕は今日もMDを作るよ。

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