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カナダの君じゃないよ

今聴いても本当に素晴らしい歌だと思う。

ホリー・コールの歌う“コーリング・ユー”は、
中学生の頃、
本当に擦り切れるくらい聴いた。
レコードだったら本当に擦り切れていたと思う。

『青春のせい』っていうアルバム・タイトルが好きなんだけど、
タイトル曲は別のアルバムに収録されてるっていう
ちょっとおかしなことになってる。

幻想の青春期に迷い込みたい君に。

Blame It On My Youth
/ Holly Cole

Holly Cole-Blame It On My youth
彼方の「君」と呼応する歌
 カナダ出身のジャズ・シンガー、ホリー・コールが92年に発表したサード・アルバムで、本国ではゴールド・ディスクを獲得している彼女の代表作のひとつ。分厚いゴムのように吸い付く弾力を持ったデヴィッド・ピルチのベース、決して大袈裟なアレンジには手を出さないアーロン・デイヴィスのピアノ、そして、自宅の居間のソファに腰を下ろして歌うようなホリーの肩の力の抜けたしなやかなボーカル。トリオの奏でる数々のスタンダードなナンバーが、特別な装飾を加えられているわけではないのに、そこに滲み出るような個性を感じさせるのは、やはり各々のすぐれた技量のなせる業なのだと思う。ジャズにはどこか特権性というか敷居の高さみたいなものを感じる人が多いと思うのだが、ホリー・コールの本作は深い味わいを求める人にはもちろん、ビギナー・リスニングにも堪える素晴らしい普遍性を持っているアルバムなので、色々な人が幅広く楽しめる一枚だと思う。
 特筆すべきはやはり映画『バグダッド・カフェ』の挿入歌として日本でも広く知られている“コーリング・ユー”。実際の映画ではジェベッタ・スティールというシンガーによるバージョンが使用されていたらしいのだが、有名なのは間違いなくこっち。素人考えで恐縮だけど、「ジャズはやっぱりバーだろ、バー」と思う。都会の一角に佇む行きずりのバーに、言い知れない思いを抱えた大人が集い、持て余した感情を酒と一緒に舌の上で転がしながら、ジャズ・バンドの生演奏に耳を傾ける。そんな勝手なイメージ。そこで歌われるのが“コーリング・ユー”だったら、シンガーは孤独だと思う。どうやら執筆当時は歌詞の意味をまったく理解していなかったようだが、小説家の乙一は自身の初期作『きみにしか聞こえない』の中でこの歌を取り上げている。でもむしろ、「君だけに聞こえない」だと僕は思う。こんなにも強く君を求める歌声が、名も知らぬ目の前の誰かには届くのに、たったひとりの君だけに届かない。でも、その切なさと狂おしさこそが、やり場ない孤独を同じように抱えた都会の大人たちを、強烈に引き寄せていく。

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