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最後は(笑)って感じで

14歳
/ 楳図かずお

14歳
傷口から捻り出された希望
 世界の終末を描く大作漫画として『漂流教室』とテーマを共有するとも言われている、楳図かずおによる現時点での最後の長編作品。進歩とは名ばかりで実際には自分たちの生きる地球を終末に向かって追い詰めているだけ人間が、世界のあらゆる情報を宇宙船に詰め込んで、新たな生活の場所を求め宇宙に飛び立つ。未来版の『ノアの方舟』のような話。ただし、すべての人間は「14歳」までしか生きられない。本作における「14歳」という言葉は、実年齢としての14歳も意味するし「未熟」ということでもあるし「人間」そのものを示すものとしても使われている。要するに、「限界」ということだ。僕たちは限りある世界に生きているということだ。だとしたら、その限りある世界の必然としての行き止まりに対する悲観さえも超えて、僕たちは如何にして前向きに生きることができるのか。終末の風景に強引に希望を持ち込む楳図かずおらしいパワフルさに満ちた素晴らしい作品。
 表現者がその表現の受け手を圧倒させる瞬間とは世界を捏造するまさにその一瞬に他ならない。「楳図ワールド」とかそんなペラペラな意味じゃない。想像力で現実の世界に追いつこうとしたその一瞬、ということだ。それはある意味では、単なる屁理屈、都合のいい妄想、事実の上書き、といった自分勝手な世界の修正でしかない。その何の裏づけも根拠もないデタラメは、しかしだからこそその世界を捏造した本人でさえ取り返しのつけられないほどに力強い。実際には存在し得ない風景を平気で造り上げそこに無理やり深みを持たせようとした太宰治。誰がどう見ても間違いまくったその嘘で自分を騙し踊り続けたマイケル・ジャクソン。彼らが嘘をつかなければいけなかった理由は、他の誰もが大人しく受け入れていく青春期的な苦しみにいちいち立ち止まり、結局そこに留まって本を書いたり歌を歌ったりだなんてくだらないことしかできなかった彼ら自身がそもそも救いようがないほどに間違った存在だからだ。本来なら存在するべきじゃなかった「嘘」が、間違った自分にでも存在できる場所を作り出すために強引に世界を歪ませる時、しかしそこには息を呑むほどに圧倒的な何かが生まれる。楳図かずおは、本作で、世界を傷つけるそのペンの切っ先を、もはやまったくコントロールできていない。楳図かずおの屁理屈と妄想と上書きが、制御されずにもうとんでもないことになっちゃってる。ちょっと。宇宙は一匹の虫だったって。とにかくすごいんだ。そして、そのすごさの正体こそが、間違ったひとりの人間がそれでも全力で生きようとする生々しさで、僕が「希望」って呼びたいものなんだ。でも、「視聴率200%越え」はさすがにちょっとやりすぎだと思うよ。

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