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ジャケット・ジャクソン

All For You
/ Janet Jackson

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人が踊るということ
 ダンスって不思議だ。ダンス部のない高校に通う生徒たちが先生にダンス部作ってくださいって誠心誠意込めてお願いしてもNOの返事が返ってきたりするし、ダンスってなんかちょっとイケナイ感じがする。選択体育の授業のひとつとして他のスポーツと同じ枠に収められていても、なんか居心地悪そうに感じる。なんでだろう。多分、ダンスって、なんかこう、目的とか理由がわかりにくいからだ。人が体を動かすことには意味がある。まばたきひとつにだって歴然とした意味があるんだ。じゃあダンスの目的・理由・意味って何? 体を鍛え上げて、得点を稼いで、最終的に勝利することが目的のスポーツとはまったくの別物だと思う。人はどうしてわざわざダンスなんて踊る? 得点や勝利という明確な見返りを得られないのに、どうしてわざわざ体を疲れさせる? それは多分、ダンスを踊るということが、とてつもなくメンタルな行いだからだ。決してフィジカルなレベルにおける解放ではなく、ひとつのエモーションだからだ。そういえば古来から踊るということは神への祈りと同義のスピリチュアルな儀式だった。ダンスって、そういう意味ではひどく限定的で、閉鎖的で、個人的な行いなんだなぁと思う。
 バイト帰りに久しぶりにこのアルバム聴こうと思ったらiPodには“オール・フォー・ユー”と“カム・オン・ゲット・アップ”しか入ってなかった。でもすごい感動した。ジャネットは本作のひとつ前に、『ヴェルヴェット・ロープ』という良く言えば「アーティスティック」、悪く言えばただ「暗い」だけのアルバムをリリースしていて、そのアルバムのジャケ写には、全作品の中で彼女が唯一逃げるようにしてカメラから顔を逸らしたものが採用されている。そのアルバムは、ジャネットが自身のビートやリズムといった踊るためのグルーヴのすべてを放棄して、メロディと言葉のみに神経を集中させた、ジャネット・ジャクソンというひとりのダンサーが、たった一度だけ踊ることを止めたアルバムだった。そこから四年後の本作で、ジャネットは再びダンスを取り戻し、そして歌のあちこちで高らかな笑い声を上げ、そんな自分を祝福している。ジャネットは出世作『コントロール』でも現時点での最新作『ディシプリン』でも、自分の混乱しがちな感情を律し、制御するために踊り続けてきた人だ。そんな、誰よりも自分に厳しい女性が、本作では大きな笑顔を解き放っている。『オール・フォー・ユー(=すべてはあなたのために)』という個人的な思いは、たったひとりに向けられたダンスという祈りは、かくして多くの人々の心を鷲づかみにしていくのだ。本作が発表された時僕はまだ中学生で、クラスメイトには「研ナオコに似てる」とバカにされ続けたけど、この頃のジャネットがマジで大好きだった。

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