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入り口はどこにでもある

素晴らしい映画を観た。
ブライト・アイズの名曲“アット・ザ・ボトム・オブ・エヴリシング”を思い出した。
コナー・オバーストは、その震える声で、ひとつの物語を語る。

墜落する飛行機に乗り合わせた男女。
パニックを起こす女性に向かって、
男性は「君のバースデー・パーティーに向かってるんだよ」と語り始める。
「僕たちは君のことを愛しているよ」と。
たまたま乗り合わせた初対面の女性に。
自分も死に向かって落ちているその時に。

人生はわかりやすいようで難解で、
明確な答えなど存在していなくて、
死は決して晴れやかな出口にはなり得ない。

でも、始まりは、いつだってすぐそこにあるのだ。

Stay
stay.jpg
すべてを黙らせる絶対肯定
 最初は、意味もわからず、断片的かつ示唆的なシーンが次々と展開される。他の誰にも聞こえない声が聞こえてしまう青年。死んだはずの人間が生きて現れ、生きている者は自殺願望を抱えている。バラバラのパズルのピースを手渡された時のような、全体像の掴みにくい不可解な印象を受けるかもしれない。背景に紛れるエキストラにあえて注目して欲しい。二人以上の人間が並んで歩いていたら、その複数人はまるで双子のように、まったく同じ服装に身を包んでいる。最初はその意味のわからないモヤモヤ・ユラユラした感覚から、人が「自分は何者かである」と確固として証明するのは難しいなぁなんて思っていたのだけれど、ラストに近づくにつれてすべてが明確に、鮮やかに、紐解かれていった。特典映像を観た限りではどうやら臨死体験を強くイメージした作品のようだが、はっきり言ってそれ以上のものに出来上がってしまっている。
 生と死、過去と未来、夢と現実、デジャヴとジャメヴ、私とあなた……そんなすべてが出揃う「現在」という揺るぎなき揺らぎの場所を、ここまで真に迫った演出で描ききった映画作品はそうないのではないだろうか。シーンとシーンを強引かつ急速に繋ぐモーフィング技術やジャンプカットを多用しコンマ何秒すらも巧みに駆使する映像美に加え、ユアン・マクレガー&ナオミ・ワッツという二大スターに挟まれながらもライアン・ゴズリングが精神の不安定な青年という難しい役を好演している。圧巻は、幻想的な映像デザインで、継続する具体でありだからこそ究極の抽象である「今、ここ」という場所を感動的に描いたラスト・シーン。ひとつの命が「今、ここ」から解放される直前に交わされるプロポーズとはいったい何だろう。「あなたは生きている」でも「あなたはひとりじゃない」でもない、そこが生の世界であろうと死の世界であろうと僕が私であろうとあなたであろうと、「そこに居て良いんだ」と認める『ステイ』はすべてが真実でありすべてが嘘である世界にただひとつ佇む絶対的肯定である。これは疑いようのない傑作。絶対に観た方が良い。

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01:57 | 映画 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑
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コメント

#
これ観たい!
ナオミ・ワッツにユアン・マクレガー!
すごく気になります!

by: イベリ-コ豚 | 2009/05/28 02:28 | URL [編集] | page top↑
# イベリ-コ豚へ
妙な名前やったからまた迷惑なコメントか何かかと思ったよ笑
ナオミ・ワッツきれいやった!
ユアン・マクレガーはやっぱ堅気の役はいやだ!
by: 幸大 | 2009/05/29 02:54 | URL [編集] | page top↑

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