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ダニー・ボイル

ダニー・ボイル映画の何がすごいって、
何かを信じる力強さもそうだけど、
音楽もとても良いんだ。

『トレインスポッティング』でのアンダーワールド“ボーン・スリッピー”。
『ザ・ビーチ』でのオール・セインツ“ピュア・ショアーズ”やモービー“ポルセリン”。
『スラムドッグ・ミリオネア』でのM.I.A.“ペーパー・プレーンズ”も素晴らしかった。
どれも、ここ以外のどこで流すんだとでも言うような
絶妙すぎるタイミングで映画を彩るんだ。

あと、初期作『シャロウ・グレイヴ』『トレインスポッティング』『普通じゃない』
でのユアン・マクレガーの使い方も最高。
続く四作目『ザ・ビーチ』でもユアン・マクレガーを起用するつもりだったらしいが、
配給会社から「もっと金になる役者を」と言われて
結局レオナルド・ディカプリオになったらしい。本当かどうかわからないけど。
でも実際に観てみたら、そんなことどうでもよくなるような傑作だった。

『トレインスポッティング』以降は『28日後・・・』以外には
パッとしなかったらしいのだけれど、
最新作の『スラムドッグ・ミリオネア』は完全にブレイク・スルーした作品だと思う。
これ観なきゃ始まりません。
サントラも面白いよ。

Slumdog Millionaire
/ Various Artists

Slumdog Millionaire-Soundtrack
ここでは何もかもが起こりうる
 現在も絶賛上映中のダニー・ボイル監督の最新映画『スラムドッグ・ミリオネア』の舞台となったインドは非常に多言語な国家である。方言を含めると言語数は実に1600を超えるという。インドでは、最もスピーカー数の多いヒンズー語が公用語に指定されているが、準公用語は英語である。もちろんかつてイギリスの植民支配下にあったという史実の影響もあるが、その選定の理由には英語が「どの民族にとっても母語ではない」という中立的立場にあることも重要視されている。そう、インドは他民族国家でもあるのだ。特定の部族を特権的な存在にしてしまわないために、英語は準公用語に選ばれたのだ。インドという国家の混沌ぶりを物語る面白い話だと思う。多民族であれば、当然のように多宗教である。そして、ご存知のとおり、インドには未だにカースト制度という理不尽な身分制度が公然と残されている。世界第ニ位の人口を誇るこの巨大国家は、様々なカテゴリーや成分表示によって制御されることで成り立っているのだ。そして、分類という制御が生成するものは他でもない混沌である。そして、混沌こそが究極の秩序なのだ。「国」ではなくひとつの「大陸」とまで呼ばれるかの地には、すでにひとつの「世界」がまるまる呑み込まれているのだ。
 本作の音楽をほとんどひとりで支えたA.R.ラフマーンというミュージシャンは、インドではカセットをすでに二億個以上も売っているちょっと考えられない人である。彼の作る音楽は、単なるトライバル・ダンスとは言い難い、生音もヒップ・ホップもトランスも内包した非常にバイタリティ溢れる素晴らしい楽曲ばかりである。本作でラフマーンと共演している我らがM.I.A.(インドではなくスリランカ系)も、そういえば少女時代に頭に銃を突きつけられ、叔父を実の父と教えられながら育てられ、赤ちゃんを出産するたった四時間前までグラミーの舞台でパフォーマンスをしていたというちょっと信じられない人である。そして、彼らの楽曲が本作において最も主張しているのは、他でもないビートである。このビートが、鼓動が、躍動感が、映画を常に力強く支えていた。現在のインドは経済発展も目覚しい。インドが内包する、混乱しながらも圧倒的に力強いそのエネルギーは、そして、不可能を可能にさえしてしまったのである。まだ観てなかったら絶対に映画観てください。

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