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あたたかくなるよ。

最近は漫画を取り上げることがやけに多いですが、
わたくしとしましては、音楽が中心のブログのつもりでございます。


Tesoro オノ・ナツメ初期短編集
/ オノ・ナツメ

オノ・ナツメ-Tesoro
イイじゃんと言ってくれる
 イタリア語で『宝物』と名付けられた、オノ・ナツメの短編作品14話と年代別のギャラリーがセットになった満足なヴォリュームの一冊。オノ・ナツメといえばローマのレストランを舞台にした『リストランテ・パラディーゾ』が有名だが、この初期短編集でもやはり画がひたすらに良い。作者は漫画家としてのデビュー以前にイタリアへの語学留学を経験しているようだが、実際に自分の肌で吸収してきた西洋的なオシャレな空気感がとても効いている。特に入念に描き込まれているわけではないシンプルで細身な輪郭のキャラクターは、例えば「わびさび」などというある種の深まりとは程遠いが決して「のっぺり」とか「ペラペラ」といった軽薄なイメージを与えない、コーヒーとタバコにストロークスの『イズ・ディス・イット』、みたいなサンデー・モーニングな穏やかさと温もりを表情に湛えている。決して気張って読んで満足感が得られる作風ではない。むしろ、そうやってひたすらにリアルの手応えを求めることで擦り減らしてしまった日々に、何か置き忘れてしまったものがあるんじゃないか、ということを思い出させてくれる、日常に優しく寄り添った話が詰まっている。タイトルにもお弁当やコーラやクリスマスといった誰にでも許された幸福が散りばめられている。特に大きなドラマや事件が起きるわけではない。すれ違いや誤解でさえ誰にでも心当たりのあるような普遍的なものばかり。でも、ご飯がおいしかったり占いが当たったりといった些細な喜びはもちろんのこと、悲しかったり嬉しかったり複雑でゴチャゴチャしてわーってどうしようもなく涙が流れてしまうような時でさえ、君はイイ顔をしているよ、とすべてのキャラクターが静かに笑いかけてくれる、そんな愛すべき作品ばかりだ。退屈だと思っていた日常と、ほんの少しだけ、和解をするのも悪くない、と思わせる一冊だった。

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