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もーたまらん。

まるで卵を握りつぶすかのように、
ヤー・ヤー・ヤーズはあなたのラヴ・ソングを粉砕する。

切ない。切な過ぎる。
涙が止まらん。

It's Blitz!
/ Yeah Yeah Yeahs

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ラヴ・ソングの欺瞞が暴かれる
 時として、欠落は人を特別にする。目の見えないシンガーソングライター。耳の聞こえないスポーツ選手。足を骨折して松葉杖をついている同じクラスのアイツ。でもそんな欠落も、それを承認してくれる誰かがいなければ特別でも何でもない。欠落した自分をそのまま肯定してくれる誰か。だとすれば、欠落が幾ばくかのスペシャリティを担保していたとしても、僕たちには絶対に失ってはいけないものがある。「あなた」である。しかし、所謂「失恋ソング」と呼ばれる歌の中で失われる「あなた」でさえ、欠落のクリシェのひとつとしてその唯一絶対性を失い松葉杖と何ら変わらないリアリティしか発揮できなくなった今、ヤー・ヤー・ヤーズが歌うラヴ・ソングはやはり破格であると認めざるを得ない。去っていった「あなた」に向かって「愛しい人よ、泣かないで。私を骨にしてよ」と歌うカレン。自分を承認してくれる誰かの存在が約束されている居心地の良い欠落感などではなく、「あなた」不在の場所で、誰も見ていない場所で、それでも「あなた」のために私はすべてを失ってみせると歌うカレンのラヴ・ソングはひどく狂おしい。ベースレスという明らかに欠けたロックから音楽を再定義してみせた彼らのサウンド・フォーマットは、前作の生音回帰から本作のダンス・ミュージックへと凄まじい変容を見せた。しかしここにはそんな表層を簡単に置き去りにしてしまう本質的にして決定的な何かがある。人はなぜ歌を歌うのか――。言うまでもなく、完全な人間などこの世にはたったのひとりとして存在しない。誰もがどうしようもなく欠け、壊れながら生きている。そして僕たちは、そんな欠落感を抱えた自分をそれでも認めてくれる「あなた」と繋がるただそのために、歌を歌い、踊り、そして物語を語ることを止めない。ラヴ・ソングとは、それほどまでに重いものなのだ。かの名曲“マップス”で歌われた、届くべき「あなた」に決して届かないあの叫びがここでもやはり打ち震えている。すなわち、「誰もあなたのことを私のようには愛せない」、と。

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