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間違いなく09年最も重要な一枚

No Line On The Horizon
/ U2

U2-No Line On The Horizon
約束の地であなたと出会いたい
 とても抽象的なアルバムだと思う。日本人写真家・杉本博司の写真を使用したアートワークもそうだが、『原子爆弾解体新書』と名付けられたひとつの具体を小さなパーツ・レベルのたくさんの具体にまで解体した前作から四年半ぶりに発表された本最新作が語り出すのは『ノー・ライン・オン・ザ・ホライゾン(=境界なき地平)』という極限の抽象である。この変化の大きさは凄まじい。熱さと激しさを抑制したボノの歌声は一瞬お経か何かかと思った。ブライアン・イーノ&ダニエル・ラノワによって手掛けられたエレクトロなサウンド・プロダクションも電子という粒のような断片ではなくそれの集合体としての波動のような大きなうねりを感じさせる。ただ、言うまでもなく、ここでの抽象は物事をうやむやにさせる曖昧ではない。希望と絶望、光と闇、過去と未来、僕とあなた。理由や意味に応じて様々な境界線を引くことで成り立っているひとつの世界。しかし、マクロで俯瞰していた明らかな白と黒のコントラストでも、ミクロの単位にまで近づいてみると「あ!」と思わず声を上げてしまうほど、実はそのふたつが出会う境界線は限り無く無境界に等しかったりする。それは何かに似ていないだろうか。昨日と今日とで何も変わらない、変われない自分。そんな同じような毎日を繰り返してきたはずなのに、今日の僕と10年前の僕とではただ単に時の経過以上の明らかな変化がその狭間には横たわっていたりする。『境界なき地平』とはきっと、「愛を燃やす」場所としてかつて歌われた“名もなき通り”のその果てに広がっているはずの景色だろう。それはもっと遠い場所にあるのだと思っていた。それこそ一生かけて辿り着けるか否かとでもいうような果てしない彼方に。しかし、U2は歌うのだ。それはすぐそこにある景色なのだと。遠いようでまったく遠くない場所にあるのだと。境界によってこそ具体的に形作られるこの世界で、U2は今それを歌うのだ。それはつまり、その場所は、「あなた」でかまわない、「あなた」が相応しい、ということだ。そこに、もはや境界線はないのだから。
 U2というバンド名は、この歌は僕でありあなたである(=you too)、という彼らの頑なな思想、というかほとんど切実な願いに近いそれを表しているとされている。国境や性差から身分や個人まで、ひたすらに境界線を引きまくることが大好きなこの世界で、それでも僕たちはもうすでに「約束の地」に立っている。あとはもうそれに気付くかどうかだけなのだ。U2はそれを祈っている。昔の自分はまさにその当事者だったが、これを理想主義者のたわ言とか現実はそうじゃないとか言って口の端で冷たく笑うやつが僕は大嫌いだ。
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02:23 | 音楽 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑
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コメント

#
昨日マホ軍団の一員が、The viewのCD買ってた。

そんな彼、最近「U2気になる」って言ってた。



ちくしょう!
マイケルのチケット50万枚5時間で完売だってよ!
私は一生、生で宇宙人を見れないかも。
だってマイケルが見れないんだもん。

絶望的だ!
なんて、安っぽい絶望なんだ!w
by: ま★ | 2009/03/15 22:10 | URL [編集] | page top↑
# ま★へ
良いねぇ!ミューズの彼かな?笑
俺は最近12インチのLPでヴューの最新作買ったよ!
U2の最新作も良いアルバムやったから、
聴いてみるように勧めてみてくださいな。


マイコーさすが~
まほの安っぽくも壮大な夢やのにね笑
宇宙人が無理なら
やっしにもっとも神に近い姿と言わしめた
スピーディーを見るのだ!
by: 幸大 | 2009/03/16 00:00 | URL [編集] | page top↑

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