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中指ぐらい立てさせて

春菊
4冊500円で安かったから買った内田春菊の『水物語』。
この前、『ファザーファッカー』という
私小説と呼ぶには無感情な、フィクションと呼ぶには生々しい、
そんな一冊を読んでちょっと興味を持ったので、
他にも何か買ってみようと思います。

さっきブックオフに行って他にも漫画買ってきました。
今日も読むぞー。

レヴューはこの前買った山本直樹の短編集。
サークル仲間でやってる根暗漫画会に今度これ持って行こ。

明日また電話するよ
/ 山本直樹

山本直樹-明日また電話するよ
坦々と、晴々と
 山本直樹の作品に登場する少年少女は皆、別に特別な環境に置かれている若者なわけではない。何かから極端な抑圧を受けているわけでもなく、何かを猛烈に求めているわけでもなく、ただ流れるように同じような日々を過ごして、多分、大人になってからもこうして毎日を繰り返しながら生きていくんだろうな、と思わせるような、そんな若者たち。そして、彼らはドラマチックな展開を経て出会うわけでもなく、何か切実な思いを共有するわけでもなく、それがごく自然のことであるかのように、体と体を重ね合わせていく。それは、読む人によっては、将来を見据えていない、その場限りの手軽な快感に身を沈める、即物的な生き方をする若者たちの、軽薄な物語に思えるかもしれない。しかし、よく読んでみて欲しい。決してそうではないのだ。すべてを終えた後に広がる、何の特別な感情も象徴しない、でもどこか清々しい、風の通り抜けた後のような青さを感じさせる風景。そこに映る解放的な何かは、汗と生温かさの中で果てるイカ臭いカタルシスとはまったくもって無縁のものだ。どれだけ体を交わしてもどこにも辿り着けない毎日に、彼らは少なくともフラストレーションや悲壮感や後ろめたさを抱えてはいない。繰り返される毎日でかまわない。「明日また電話するよ」。そう声を掛けるのと同じぐらい近いところに、魔法やファンタジーは転がっているから。山本直樹のすごいところは、出口の見えない毎日には、それでもこんなに晴れ渡った入り口がすぐ隣にあるんだと教えてくれるところだ。これまでに発表した幾多の短編の中から選び抜かれた秀作をひとつにまとめたこの一冊を読んで、改めてそう思った。定点アングルで描かれた“テレビばかり見てると馬鹿になる”は傑作。

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