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No.09

Partie Traumatic
/ Black Kids

Black Kids-Partie Traumatic
ブラック・キッズは自分だ
 コンプレックスの塊みたいな彼らのルックスにまずやられた。特にボーカルのレジー。なんだか、まるで昔の自分を見ているようだった。興味が湧いて聴いてみたら、女の子の甲高いコーラスと手拍子とピアノの軽快な音色が乱れ飛ぶ、最高に楽しげなパーティー・ソングだった。でも、僕の心を最後にぶっ刺したのは、パーティーには不釣合いなくらいの辛らつな言葉たちだった。長年隠していた傷跡を今になってあえて穿り返すかのような、残酷な高笑いを上げる言葉たち。ポップ・ソングとは、孤独な人間が、誰かと繋がることを切実に希求したときにこそ生まれる音楽だ。そのカラフルな虹を越えれば、笑顔の仲間たちが両手を広げて僕を待っているはずなのである。そして、ブラック・キッズのポップ・ソングの重さ、それは、僕の仲間たちの笑顔をビリビリに引き裂いてしまったところにある。レジーは、モリッシー憑依のナヨナヨ・ヴォーカルで執拗に僕をなじる。どれだけ明るく元気なフリをしてみても、結局のところお前の本性はやっかいなコンプレックスを抱えた孤独で無力なガキだろう? お前は俺と一緒だ。俺たちは醜い形で生まれた奇形児なんだよ。俺たちは、絶対的に独りだ――。それでも、やっぱりまた“ボーイフレンド”を聴き始めてしまうのはいったいなぜなんだろう。こんなにも僕は独りなのに。僕は、やっぱり今でも、レジーとなにひとつ変わらないのに。
 人が、歌を歌うということは、そういうことなのだ。人が、ひとりで歌を聴くことの重さとは、そういうことなのだ。まっとうな人間は歌なんて必要としたりはしない。安全で安心で健全で疎外されたことのない人間は、その人生のすべてをかけて歌を歌ったりはしない。歌のその先に、あるかどうかさえわからない希望を求めて、朝から晩まで同じ曲を繰り返し聴き続けたりはしない。ネガティヴな歌を聴いたらすぐに「死にたくなる」とかほざくやつがいるが、そんなやつがロックを聴くな。頭下げたっていい。お願いだから、そんなやつがロックを聴かないでくれ。こんなネガティヴに身を沈めていったい何になるんだと言うやつもいるだろう。この気持ちはもう完璧には理解されなくたっていい。でも、それでも、こんなところからでしか始められない人間だって、世界には確かにいるのだ。強がるのは止せ。あなただって、きっとそうなんだろう?
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