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タッチ・ザ・グラウンド

Prospekt's March
/ Coldplay

Coldplay-Prospekts March
言うまでもなくただのEPじゃない
 今年発表された『美しき生命』を聴くまでコールドプレイは本当に好きじゃなかった。それまでの三作は聴きながらいつも眠ってしまっていた。でも、今年の『美しき生命』で、完全に鷲づかみにされた。コールドプレイの音楽がそれまで退屈だったのは、それがあまりにも完璧な本質の描写だったからだ。微塵の狂いも綻びもない、完璧なフォルムで切り取られた本質。それが完璧であれば完璧であるほど、そこから個人性はスルスルと抜け落ちていく。だとすれば、その本質そのものは、いったいどこから表れて、どこへと消えていくものなのか。誰から誰へと向けられた言葉とメロディだったのか。それが、まったくわからなかった。僕とは無関係な遥か上空で、僕に降りかかることないままに美しく揺らめくコールドプレイの音楽。そんな世俗を超越したオーロラを、自らの手で引っぺがし、胸の内で脈打つ激しい鼓動によって粉砕したのが『美しき生命』という大傑作だった。そこには、必死で伝えようとする、コールドプレイからしか生まれ得ない壮大にして明確なメッセージがあった。
 本作はそんな『美しき生命』には収録されなかったアウトテイク集。ジェイZが参加した“ロスト”の新ヴァージョンなんてどうでも良い。とにかく新曲5曲が素晴らしい。“天然色の人生”なんてイントロが鳴り始めた瞬間にあの躍動感が甦る。それだけ音の隅々にエモーションが溢れているということだ。“グラス・オブ・ウォーター”のサビで一気に盛り上がる至高のウォール・オブ・サウンド! 『美しき生命』のイメージを改めて決定的にする一曲だ。ジャケットからしても『美しき生命』と同様のコンセプトを引き継いだEPであることは明らか。生、死、革命、といったテーマがクリスの中でどれほどのリアリティを持って響いたのかはわからないが、これを発表しなければいけないほど溢れる何かがあったということだろう。本盤にまったく劣らない新曲のクオリティの高さが、今までにはなかった思いの強さを物語っている。
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