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閉じた先にだって解放はある

Boys And Girls In America
/ The Hold Steady

The Hold Steady
視野が狭くて何が悪い、希望はいつだって足元にある
 ブルース・スプリングスティーン直系のオーセンティックなアメリカン・ロックにEストリート・バンドみたいなピアノが軽やかに鳴り渡る。退屈な日々に刺激を求めて出かけたクラブ。そこで出会った異性との行きずりの関係。軽薄なビールの泡が一日の終わりを告げる。そして、朝に目覚めた時、映画にも小説にも到底なりえないありふれた生活は再び繰り返される――。本作発表時フロントマンのクレイグは35歳だが、自分が十代の頃の生活を熱心に記録していたという彼のリリックが描き出すアメリカの少年少女の物語はどこまでもリアルだ。彼の歌に登場する少年少女は、いつだって普段と変わらない風景に立ち返ってしまう。自分の生活というステージから降りることなどできずに、もうひとつの世界に飛び立つことなどできずに、いつの間にか大人になって、すべてが変わってしまったように見えて、実は何ひとつ変わってはいない、そんな少年少女の物語。それでも彼らの音楽が決して後ろ向きではなく、むしろ涙を誘うほどに感動的なのは、それが限界のある若者の生活にも希望はあるんだということを教えてくれる音楽だからだ。元の場所に戻ってきてしまっても別にかまわないと歌ってくれる音楽だからだ。ここより広い世界になど飛び立てなくてもかまわないと歌ってくれる音楽だからだ。一夜限りのセックスはひとりの世界を根本から覆したりはしない。結局のところ何ひとつ変わらない世界で、変われない自分を心から肯定できた時、それはだからこそ「解放」なのだとこのアルバムは告げている。決してアメリカの少年少女だけに向けられた音楽じゃない。今の十代と、かつて十代と呼ばれたすべての大人たちへ。
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