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How to Live

あやこ
やっと読み終わった。
僕はとにかく活字を読むのが遅いので、
三巻で完結の漫画といえでも数時間は消費するのです。

漫画とかあんまり読まない人間なので
これまで家には『幽遊白書』しかなかったのですが、
この前本屋に行った時にちょっと気になったので買ってみました。
『ブラック・ジャック』ですらほとんど読んだことないに等しい僕ですが、
手塚治虫の、『奇子(あやこ)』。

これからは漫画も積極的に読んでいこうと思った。
感想文です。

奇子
/ 手塚治虫

奇子1奇子2奇子3
私は笑いながら世界を生きていく
 東北の片田舎でかつて名を馳せた大地主一族・天外家。その次男が関わったある事件をきっかけに、一族のもはや恥部どころではない腐りきった事実――遺産がらみの近親相姦とそれにまつわる悪意と醜態――が外部に露呈することを恐れた天外家は、近親相姦によって産まれたまだ4歳の幼い少女・奇子を土蔵の中に閉じ込めて表面上は病気で急死したことにして、その後22年間の人生を闇の奥底に葬り去る。奇子を閉じ込めた以降も一族の鬼のような狂気は納まるところを知らず、遺産をめぐる醜い行いも近親相姦も終わらない。それどころか一族で唯一まともと思われていた三男まで闇に暮らす奇子に生きている実感を与えるために腹違いの妹を犯し始める。悲しみと苦しみの終わらないダウンスパイラル。この一族に、正しいことなど何ひとつもない。すべては一族の身勝手な保身に端を発する絶望だ。すべての始まりが狂っているのだから、それはいつか必ず破綻する。そして、その破綻を補足しようとした結果も、当然のように狂う。誰が首相になってどんなに立派な正論を掲げたところで結局のところ何も変わらない今の政治社会を見ているみたいで、というか物語の内容そのものも死ぬほどヘヴィだが、決して軽い気持ちでは読めなかった。ここまでが1・2巻。
 3巻ではそれまで土蔵に閉じ込められていた奇子が外の世界に這い出してからの物語が描かれている。土蔵の中で頭は子どものまま体だけ大人になってしまった奇子が外の世界でうまく生き抜いていくことができないのは想像に難くない。圧巻なのはラストである。物語の本質ではないが、十分に象徴的だった。登場人物は皆、入り口の塞がってしまった洞穴に閉じ込められてしまう。そう、それはまさに奇子が人生のほとんどを過ごした暗闇である。文字通りの一寸先は闇な状況に、ある者は幻覚に苦しみ、ある者は喚き散らし、皆少しづつ狂い始め、命を萎めていく。最後まで元気に生き延びたのは奇子だけという凄惨なラストだが、墓の中のように狭く暗く空気の薄い場所に長時間閉じ込められて狂ってしまうのはむしろその人が正常な証拠で、奇子が暗闇の中で笑っていられたのは奇子が誰よりもずば抜けて狂っているからで、奇子が狂っているのは一族が狂っているからで……と、ここでもダウンスパイラルは起きる。最終的に世界を生き抜くのは、本当の本当に狂っている人間だけなのかもしれない。奇子という他者を通じて世界と対峙した手塚治虫。そこから見た世界は救いがたく、どうしようもなく狂っている。世界に正論など通用しない、ということかな。
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コメント

#
なんなんだろうと思ってたらあやこか!!!

私もすごく気になってて読みたかったんだよ!

・・・読もう!
by: mahoshi☆ | 2008/12/05 18:39 | URL [編集] | page top↑
# mahoshi☆へ
そう、『奇子』なのでした!

今度は『デメキング』、やったっけ?
されに挑戦してみるつもりです。

今からYUKIの新曲のレヴュー載せます。
by: 幸大 | 2008/12/06 01:16 | URL [編集] | page top↑

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