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風に語りて

セックスアピールの亡霊
『セックス・アピールの亡霊』。
ダリの画の中ではこれが一番好きだ。
ダリは性的なアンバランスを松葉杖で支えようとすることが多い。
そして、象徴ですらないほとんど化け物に近いダリの描くセクシャリティが、
崩壊しかけてついには立てなくなってしまったのがこの『セックス・アピールの亡霊』。
それを見上げているのが子どもだというところに悪意を感じる。
そもそもが松葉杖で支えてやらなくてはならない存在。
う~ん批評的だなぁとか思えて、僕はこれが好きだ。

でも、ダリのイビツな画を観れば観るほど、
彼の奇行の数々を知れば知るほど、
あの直角に上向いた髭を見れば見るほど、
この男、実はただ死ぬほど退屈だっただけじゃないか、
という素人考えをしてしまう。

プログレッシヴ・ロックの複雑性だって、結局はそこじゃないかと思う。
三分半のポップ・ソングなんて、死ぬほど退屈だったんだろう。
始まりというのは、意外と単純なもんである。
その始まりから何を始めるかが、重要なのだ。

In The Court Of The Crimson King
/ King Crimson

King Crimson-In The Court Of The Crimson King
墓碑に刻まれたロックと僕たちの未来
 ビートルズ『アビイ・ロード』をチャート一位から引きずり落としたとされるキング・クリムゾンの記念碑的デビュー・アルバム。邦題は『クリムゾン・キングの宮殿』。冒頭を飾る“21世紀の精神異常者”。シェイクスピアやウィリアム・ブレイクの詩世界に強く影響を受けたピート・シンフィールドが書いた詞には、まさに彼が21世紀の預言者であるかのように9.11や秋葉原通り魔事件を否が応でも想起させる、怖いくらい鋭く未来を読み取った言葉たちが刻み込まれている。無限の高さから世界を俯瞰し、その有り様に苦悶するかのように「死の種。無知なる者の強欲。詩人は飢え、子どもたちは血を流す。だが欲しいものはなにひとつ得られない。21世紀の精神異常者」と歌うグレッグ・レイク。それはまるで21世紀というニュー・ミレニアムを未だに明るい希望で塗り替えることのできない僕たちのことを歌っているようではないか。かの有名な「混乱こそ我が墓碑銘」という一節の歌われた名曲“エピタフ”も収録されているが、そこでは未来への圧倒的な絶望感が歌われている。愛と平和を誓う理想主義の最たるものであるロックの甘ったるい幻想を打ち砕き、そこに残された瓦礫の上で立ち尽くす絶望をそのまま未来へと投げつけた、ロックそのもののパラダイムシフトが行われたまさにその瞬間である。そして、それが大々的に受け入れられたのだ。本作発表から40年という月日が経とうとしているが、ここに書き連ねられた言葉たちは現実の未来から乖離していくどころかますます真実味を増して僕たちに重くのしかかろうとしているような印象がある。未だにこの恐怖を共有できてしまう時点で、僕たちはすでに彼らの歌うところの21世紀の精神異常者であり、敗北者なのだ。
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