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これは傑作

Glasvegas
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あなたは何を信じるのか
 ある若者の突然の死、自分だけが置き去りにされる疎外感、父親の裏切りと消失……。グラスゴー出身の四人組で構成されたグラスヴェガスのデビュー・アルバムである本作は、そんな悲痛なネガティヴで埋め尽くされている。歌詞だけをななめ読みしてみても、そこに救済の余地はまったく見当たらない。どうにも抗えない絶望と喪失に打ちひしがれるような彼らの歌は、何故なんだろう、それでも聴くものに力強い希望を与える。すべては、このバンド・サウンドだ。隙間なく吹き荒ぶ嵐のように重く超越的なこの余りにも美しいサイケデリア。これがすべてのネガティヴを轟音の彼方へと吹き飛ばし、見事に回収してしまっている。すべてを葬り去る嵐が過ぎた後の荒野に残るものは、ただひとつの屹立する希望である。それは、絶望の淵に追い込まれながらも最後まで守り抜いた信仰の表出だと言い換えても良い。彼らの音楽の希望、それは、ロックンロールを絶対的に信じる者だけに許された、ほとんど自己欺瞞と紙一重の奇跡だ。ロックンロールとは、それでも自分には一縷の希望があるということを信じる音楽だ。だからこそ、何の信仰も持たないロックはすぐにその安っぽさを見透かされてしまう。自分のすべてを懸けてでも信じ抜くべきものを持っている連中のロックは、最初にギターが鳴ったまさにその瞬間から、やはり違うものだ。
 とあるインタビューで「歌われている内容はあなたの体験に基づいているんですか?」と訊かれたフロントマンのジェームスが「これが誰の体験かっていうのは別にどうでもいいことだと思うんだよね」と答えていたのがとても印象的だった。つまり、聴き手である僕たちが信じるべきものは決してグラスヴェガスのロックである必要はない、ということだ。それは彼らの希望なのだから。君たちは君たちの希望を最後まで守り抜けば良い。ジェームスはきっとそう言っていたんだと思う。
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