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ポール・スティール

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昨年デビューした我らが根暗男といえば、やはりMIKAとウィンドミル。
アートワークを比較するとわかりやすいが、
MIKAは心に根強い孤独を抱えているが故に、
執拗に誰かと繋がろうとする陽気なポップ・ソングを選んだ。
ウィンドミルはむしろ誰かと繋がることを恐れたまま、
それでも外の世界に勇気ある一歩を踏み出そうとした。
このニュアンスの微妙な違いが、それぞれの個性になってる。

そして、今年はポール・スティール。
アートワークを見ると一見MIKAに似たものを感じるが、
彼がMIKAともウィンドミルとも決定的に違っているのは、
孤独なんて抱えてはいないということ。
特に根暗で引き篭もりの情けない男ではないということ。
それなのにこの逃避的なファンタジー・ワールド。
自らを「典型的なイギリス人」と分析する「普通の男」の頭の中だって、
曝け出してみればこんなにも魅力的な世界が広がっていたということ。
普通の人間だって、ただの普通の人間ではないということ。

年間ベスト・アルバムなんかでは選考されないアルバムだろうと思う。
でも、僕は全力でポール・スティールを支持する。
これを「くだらない」とか「幼稚」とか思うようになったとき、
それは多分僕の中で大切な何かが終わった瞬間なんだと思った。

Moon Rock
/ Paul Steel

Paul Steel-Moon Rock
イマジネーションの勝利
 見よ、この最高にぴーひゃらぴーひゃらでぱっぱぱらぱーな世界観のアートワークを。これが若干21歳にしてUK・ブライトンから世界に飛び出したシンガーソングライター、ポール・スティールの頭の中であり、彼の音楽の偽らざる本質だ。なんてったって一曲目から「僕はヒーロー、ヒーロー、ヒーローになった。そして素敵な女の子を救ったんだ」である。星屑みたいにキラキラ光るメロディと夢みたいな妄想の物語を排除すればほとんど何も残らないような音楽。現実世界とは相容れない魅力的な世界観とそれを演出する過剰なアレンジのみで聴き手を最後まで牽引するアルバムだ。子どもだましのおとぎ話に過ぎないと笑いたければ笑えばいい。確かにこの音楽は一種の現実逃避でしかないのかもしれない。こんなもんなくても、現実逃避なんかしなくても、大人になれば現実世界に折り合いをつけることなんて容易くできるようになるだろう。けれど、これは信じる者の音楽だ。厳しい現実世界がすべてではない、ロマンを信じる者の音楽だ。そもそもロックとはそういう音楽ではなかったのか? 真面目に努力して人並み以上に勉強が出来れば食っていくのに困る心配はないだろう。でも、そんなのどうだっていいじゃないか。そんなの、誰にだってできることじゃないか。言うなれば、ポール・スティールは授業も聞かずにノートに落書きばっかりしている困った少年だ。そして、このアルバムは告げている。ひとりの人間の頭の中をありのままに書き尽くした落書きは、方程式なんて楽勝で超えていくのだ。人はそれを「甘い」「夢見てる」と嘲笑うだろう。別にそれでも良いのだ。自分さえも信じられないような連中に、君は絶対に負けない。
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