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「自分」が始まった場所

PRISMIC
/ YUKI

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夢ならば、覚めないで
 久しぶりにこのアルバムを聴きながら町を自転車で走っていると、毎日眺める景色なのになんだかやけにキラキラと懐かしいような気がした。これはきっと、ちょうど今頃の季節だった「あの頃」の景色なんだろうと思った。そう気付いたときに、このアルバムが僕にとってのたったひとつの永遠であり続けているのは、これが終わらないアルバムだからではなく、「あの頃」で完全に時を止めてしまったアルバムだからなんだと思った。そして、このアルバムがYUKIの「新しい始まり」であると同時にだからこそひとつの「終わり」をここに永遠に封じ込めているように、それはつまり僕の中で何かがすでに終わってしまったことを告げているのだと思った。いったい何年前の話なのだろう。それはもう4年以上も昔の、まだ意識は10代の少年には遠すぎる過去の話だ。今なお僕を縛り付けるこの呪いは、それでも嘘みたいに鮮やかに僕を「あの頃」へと引き戻す行為を、止めてはくれない。だから、だからこそ、YUKIが“汽車に乗って”を発表したことは僕にとって凄まじく大きな出来事だった。そう、僕には懐かしい汽車に乗り込んで向かう、帰るべき場所がある。辛くなったら、どうにもこうにもいかなくなったら、いつだって帰ってしまえば良いんだ。「あの頃」という過去に凍りついたように存在する終わってしまった出来事は、もう二度と始めることなどできやしないから、だからこそ何度でも終わらせてやれば良いんだ。何度も何度も「あの頃」に帰って、何度も何度も終わらせてしまえば良いんだ。そうすれば、何度だって始めることが、前に進むことができるとYUKIは歌っているのだ。泣きながら、それでも「ただいま」と言って帰れる家は、やはりどうしても必要なのだから。僕を「あの頃」に縛り付ける永遠の呪いは、だから、こんなにも、どうしようもなく、愛しい。
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