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海は変わる

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リモコンでビビッとやっている無邪気な方がいつものベックだとしたら、
『シー・チェンジ』のジャケットのベックは明らかに別人。
かわいい笑顔で踊りまわるいつものYUKIが、
『PRISMIC』だけではあんな表情をしているのと同じだ。
ロック・シンガーがこの表情を見せた時、
世界はそのロック・シンガーだけを見逃して、回転する。
僕たちは、きっと、立ち止まりながら、それでもいつか笑うことができる。

ちょっとある人に影響されすぎたかもしれない。
それにしても、海外のロック・アルバムのジャケットは
いちいちコンセプチュアルで本当に面白い。
一時やたらとジャケ買いに凝っていた時期があったのだけど、
一回たりとも外れなかったのは、
奇跡でも偶然でもなくて作り手がジャケットにも意識的だからなんだろうな。
中学の頃、生まれて初めてのジャケ買いで買ったのは、
ブリトニー・スピアーズの『ベイビー・ワン・モア・タイム』だった。
ジャケ買いの意味が、少し違うような気もするが。


Sea Change
/ Beck

Beck-Sea Change
人は、それを「永遠」と呼ぶ
 時代を超越した奇抜な編集センスでガラクタをアートに変えるベックという才能。長年付き合ってきたガールフレンドとの失恋で失意の底に沈んでしまった自分をなんとか救い出すために、ベックはここでその才能の一切を封じ込め、時代の寵児でも稀有なロック・スターでもなくただひたすら「ひとり」としての自分と対峙した。時が止まってしまったかのように呆然としたこの表情が好きだ。すべての時の流れを止めて、ベックはここで一度立ち止まった。
 彼を一躍スターダムにのし上げた“ルーザー”や大傑作『オディレイ』などで音楽と楽しげに戯れる一般的なイメージとしてのベックらしさはここにはない。突飛なアイディアやリズムではなくたったひとつのアコースティック・ギターからでも始められるシンプルなフォーク・ソング集。歌詞にも「近頃はどうにか毎日をやり過ごしている/頑張ってみようなんて思いもしない」「朝へと続く道がある~けれど君へと戻る道はどこにもない」「どうしてこの愛は絶えず移ろいゆくのに/僕の気持ちを変えてはくれないんだろう」といった悩める言葉達が並んでいる。グレイハウンド・バスでのアメリカ横断が何よりも物語っている気がするが、ベックは感動や刺激をいつも外の世界に求め続けてきた。本作は、それを初めて内の世界で探ろうとした作品なんだと僕は思っている。「海は変わる」というこの悟りきったようなアルバム・タイトル。波は絶えず流れ続け、海は常にその表情を変える。時の流れは町並みを変え、生活を変え、僕たちは歳をとる。すべてが変わり果てるこの世界で、それでも変わらない「何か」を求めて――。そんなアルバムだと思って高く評価している。そして、その変わらない「何か」は自己の中にこそある、という答えにベックは辿り着いた。ベックが『グエロ』で再び顔を上げて歩き始めたのは、きっとそういうことなんだと思う。
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