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立ち上がれ

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YUKI、『PRISMIC』。
「体がちぎれるまで歌う」「うまく歌うより一曲一曲に心を込めて」と
自分に言い聞かせるように真剣に語って、YUKIはいつもライブを始める。
同じ空間を共有するすべての人を、
自分の音楽を聴いてくれるすべての人を、幸せにしてみせる。
YUKIが自分自身に課したそんな使命を、たった一度だけ放棄したアルバム。
でも、後に続いた『commune』~『WAVE』を聴くと、
このアルバムは決してYUKIが内省の端で立ち止まっただけの
後ろ向きな作品ではないことがわかる。

ロックには、こういう作品がたまにある。
そして、ほとんどのロック・シンガーがその次に
本当に芯の強いロック・アルバムを叩きつけてくる。
確信と自信のみに裏打ちされたような首の皮一枚のポジティヴなアルバムを。
世界との繋がりを拒絶し、自分自身を見つめ直して、
彼らはそこで自分の「前提」を見つけ、肯定する。
そこから立ち上がる、「俺はここから始められる」という希望。
僕は、それを「ロックンロール」と呼ぶことにしている。

『PRISMIC』は、僕が立った時の目線と同じ高さに置いてある。
僕は、嬉しいことでも、悲しいことでも、
何かあるといつも立ち上がってこのアルバムと向き合うようにしている。
そこで、立ち止まっている。
僕を取り巻くすべての動きや流れを止めてしまう力が、このアルバムにはある。
それがロックンロールの力だ。
だからこそ、ロックンロールは意図ではできない。
ロックンロールは、自分の意地とプライドと、情けなさでやれ。


今日のCDレヴューはビートルズの66年作。
『サージェント・ペパーズ』前夜の昂ぶりが、このアルバムには封じ込められている。

Revolver
/The Beatles

The Beatles-Revolver
「アート」を定義するロック
 きれいにオシャレにまとまった料理とか奇抜というよりとっちらかっているだけのグラフィックとかがただそれだけでアホみたいに「アート」と呼ばれ賞賛を浴びてしまう安っぽいご時勢だけど、本当のアートっていうのは、このジャケット・デザインみたいなもののことをいうのだ。メンバー四人の顔イラストとその隙間を埋め尽くす写真の数々。たくさんの顔で溢れかえっているがなぜか左端には手付かずのままの空白が残されている。この空白は、ただの白じゃない。否が応でも想像力を喚起する圧倒的な奥行きをもった空間。それがアートの本当の中身である。このジャケット・デザインは僕たちの想像力の限界を更新した。66年度グラミー賞でこれがアルバム・デザイン賞に選ばれたのは、僕に言わせれば当然のことである。
 そんなジャケットからもわかるように、ビートルズはすでにアイドル・バンドとしての佇まいを拒否している。ロックであることに、何かを表現するということに凄まじく意識的になっていた時期だ。レコーディングではサウンド・エフェクトが多用され、“トゥモロー・ネバー・ノウズ”のような極めて実験的な楽曲も収録されている。ライブでの再現もすでに難しくなってきていて、本作以降ビートルズはコンサート・ツアーを停止した。アイドル・バンドでもなく、ライブ・バンドでもなく、「考える」バンドとしてのビートルズ。実験精神を高め自身の想像力の限界を打開したビートルズは、本作発表の翌年についに『サージェント・ペパーズ』を発表する。ロックそのものを更新した大傑作である。
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