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ポップ原体験

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ほとんど「懐かしい」という思い入れだけで
ペット・ショップ・ボーイズの『ヴェリー』を聴いている。
小学生の頃、“ゴー・ウェスト”が大好きだった。
もしかしたらピンとこない人もいるかもしれませんが、
日本でもめちゃくちゃ有名な曲なので聴いたらすぐにわかると思います。
ヴィレッジ・ピープルという人たちのカバーです。
西城秀樹の“YOUNG MAN”の原曲もヴィレッジ・ピープルですよ。
Y.M.C.A.ってやつ。

“ゴー・ウェスト”。西へ。
ただひたすらフロンティアを探し求めるかのように西へ、西へと歌うこの曲。
当時は歌詞の意味なんて全然わかんなかったけど、
西にはきっと何かがあるんだと思っていた。
何か楽しいこと、嬉しいこと、つまり、希望があるんだと思っていた。
“リベレイション”は永遠に音階を上り続けて、きっと空まで届くんだと思っていた。
とにかくけたたましいシンセが印象的な“ア・ディファレント・オブ・ヴュー”。
シンセサイザーがどれだけ音楽をグラマラスにするかを物語るかのような曲。
それは確かに、初めて聴く、未経験の「音」だった。
まだ見ぬ西へ。頭上の遥か彼方へ。知っている音楽の、その先へ――。
このアルバムには、「未来」が詰まっていた。

ニール・テナントの男っ気のないソフトな歌声。
音の隙間をことごとく埋めまくるプログラミング。
このレゴみたいな立体ジャケットがダメダメすぎるという理由で
NYの美術館に展示されているというマヌケな話。
すべてがなんだか作り物みたいで、でもだからこそ魅力的だった。
学校のグランドにも自分のおもちゃ箱にもない、
僕の身近にはない何かが、このアルバムにはあった。
今思えば、これがポップの魔力なんだと思う。
ポップという名の、デタラメ、幻想、そして、夢。

何が起こるかなんて誰にもわかりゃしないのに、
未来に対して恐ろしく楽観的に希望を約束する音楽。
未来そのものこそが希望だと断言できる唯一の音楽。
ポップは、未来と希望は同義だと言う。
ゴー・ウェスト。
だから僕たちは未来に進まなきゃいけない。
前に進むことを恐れちゃいけない。
それがどれだけ無責任な約束であっても、
それでもポップは、こんなにも美しい。
こんなにも、僕たちの気持ちを高めて、ポジティヴにしてくれる。
だから、ポップは素敵なのだ。

中学生になったらみんないきなりかっこつけだして
ボン・ジョヴィとかエアロスミスみたいなロケンローな音楽を聴き始めたけど、
「ポップなんてクソだ」とバカにされながらでもペット・ショップ・ボーイズとか
スパイス・ガールズとかを聴くのを止めなくて本当に良かった。
「ポップすぎる」とかいう理由で好きな音楽を選ぶやつが大嫌いだった。
男子にいじめられ、女子に嫌がられ、
ひたすら暗かった僕の中学生活は、ポップのおかげでそれでも進み続けた。
そして、僕は高校生活の中でYUKIに出会い、
ロック街道をひた走ることになるのです。
オアシスやスリップノットは大好きだった。
それでも僕の音楽体験の根源にあるのはロックじゃない。
そこにあるのは、ポップへの無条件の信頼である。
ポップには、きっと希望がある。
それを信じて止まない力である。
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