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今月のLP 7月

フレーミング
レコード収集をしたいのですが、
さすがにしょっちゅう買っていては家計が火の車というやつで、
毎月一枚ペースでゆっくりと買うことにしました。
そんなわけで、今月のレコードがこれ。

フレーミング・リップスの『ヨシミ・バトルズ・ザ・ピンク・ロボッツ』。
大好きな一枚。
滅多に開くことはなくても、一生そばに置いておきたい、そんな一枚。
ベスト・アルバムを十枚選べ!と言われたら、確実にこれは入る。
ずっとずっと大切に聴いていきたい音楽が、詰まっています。
特に、“ドゥ・ユー・リアライズ??”という曲が、素晴らしい。

“イン・ザ・モーニング・オブ・ザ・マジシャン”という曲で、
「ああ 何が愛で 何が憎しみなのか
なぜそんなことにこだわるのか
愛することはただの無駄なのか
なぜそんなことにこだわるのか」
とウェインは歌っている。

どうせ終わってしまうものならば、
誰かを必死で愛しながら生きることすらも無駄なのだろうか。
彼らはここで恐ろしく根源的な問題に向き合っている。
自分の存在意義にすら懐疑的な目を向け、
生きる意味を定義しようとしている。

“ドゥ・ユー・リアライズ??”は、
この問題に対する答えとして鳴る、ウェイン・コインのオピニオンである。
「わかるかい? 君の知っている人は皆、いつか死ぬ
別れの言葉を何度も繰り返すより みんなに伝えてやれ
人生は短く いいことは長続きしないものだと
太陽は沈まないとわかっていても
地球が回転するからそんな感覚に陥る」
ウェインは、今にも泣き出しそうな実にナヨナヨとした声でこう歌っている。

時の流れは頼んでもいないのに僕たちを未来につれていく。
昨日まで握っていたあの手は、今日には突然に、
もうここにはなくなっていることだってある。
そうやって僕たちは大人になって、歳を取って、いつか死ぬ。
それでも太陽は明日もまた昇り、日々は終わることなく続いていく。
そして、「わかるかい? 君は一番美しい顔をしている」、と。

わかってもらえるだろうか。
ウェインは、僕たちは運命とでも言うべき見えない不思議な力の前で、
絶望的なまでに無力であり、結局は与えられる「今」を生きるしかない、と歌う。
そして、そんな「今」を生きる僕たちは、「一番美しい顔をしている」、と。
これは運命に対する諦めじゃない。
「君は一番美しい顔をしている」という一行は、
運命に巻き込まれて生きる僕たちをただポジティヴにさせるためにのみ、
ただそれだけのために、ここで歌われている。
この一行で君が少しでも前向きになれるのなら、僕はそれを歌おう。
いや、もちろん本人から話を聞いたことなんてないから妄想でしかないのだけど、
でも、ここはそんな思いで歌われていると僕は考えている。
そうじゃなきゃイヤだし、そうだったら嬉しい。
そして、それが一番ウェインらしいと思う。
生きることは無駄かもしれない。君はいつか必ず死ぬ。
それでも、僕はその美しい顔をした君を、全力で大肯定する。
“ドゥ・ユー・リアライズ??”は、いつもそう思って聴いている。

いつ寸断されてもおかしくないフラフラと揺らめくサウンド・スケープ。
泣き出す寸前、泣き止んだ直後のようなウェインの歌声。
そして、「君は一番美しい顔をしている」という一行。
たったそれだけで、フレーミング・リップスは聴き手の心を満たそうとしている。
ジャケットのバンド名の上に、小さい字で何か書いてあるのが見えるだろうか。
そこには、
「ザ・フレーミング・リップスは、あなたが人生と、
このレコードをエンジョイしてくれることを願っています」
と、実は書かれているのだ。
フレーミング・リップスは、
結局は無駄になってしまうかもしれない僕たちの人生を、それでも祝福している。
そのためなら、ウェインは何度だって
「君は一番美しい顔をしている」と歌ってくれるだろう。

落ち込んだときでも、ただなんとなくでも、
久々にこのアルバムを開いて“ドゥ・ユー・リアライズ??”を聴くと、
初めて聴いた時とまったく変わらない感動で、
この歌は僕の心を満たしてくれる。
僕は、こんなにも優しい歌を、他に知らない。

ひ弱すぎると笑うか?
こんな女々しい音楽は聴けないと強がるのか?
もしそうなら、あなたはもうロックを聴くのなんてやめるべきだ。
ひとつの強い思いを伝えるために、
ミュージシャンは決死の覚悟で無責任な嘘をつく。
ウェイン・コインは、顔も名前も知らないような何万人もの赤の他人に、
それでも「君は一番美しい顔をしている」と歌う。
僕たちは自分の胸に刻まれたその嘘の言葉を何度も何度も指で撫でて、
それで自分がいつだって前に進めることを知るのだ。
それが、ロックを聴く、ということではないのか。
かっこいいだけのロックならいらない。
強いだけのロックならいっそ全部消えてしまえばいい。

ロックとは、指で触れるだけで弾けてしまうシャボン玉である。
言っておくが、僕は大真面目である。
その脆く壊れやすいシャボン玉を守り抜くための強烈な意志。
その強烈な意志のみによって、
僕たちは自分自身をポジティヴな方向へと導くのだ。
何の役に立つかわからないシャボン玉でも、
何の役にも立たないシャボン玉でも、
いやまあ、シャボン玉なんて最初から何の役にも立たないのだけれど、
僕は死ぬまで守り抜いてやる。
それだけで、僕の人生は素晴らしくロマンチックなものになる。
フレーミング・リップスのこのアルバムは、僕にロックのロマンを教えてくれた。
絶対に、誰にも否定なんてさせはしない。
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