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終わらない映画

昨日の夜、久しぶりに映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を観た。
初めてこの映画を観た時から約二年弱、何度も何度も観た。
それでも、この映画の表現力は未だに鮮やかで強烈だった。

今思えばビョークが主演&音楽なのだから当然なのだけど、
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はイマジネーションの映画である。
この作品を観た人なら誰もが印象的に感じるであろうビョーク演じるセルマの
「ミュージカルで最後から二番目の歌が流れ始めたら席を立つの」というセリフ。
先のわかってしまうものなんて観たくない。
終わってしまうものなんて観たくない。
だから、セルマは最後から二番目の歌の「その先」を想像する。
次はいったい何が待ち構えているのだろう。
いったい、どんなことが起きるのだろう。
それはつまり、この映画のエンディング曲“ニュー・ワールド”の世界である。
セルマが死へと向かい、“ニュー・ワールド”が流れ始めた「その次」に、
どんな物語が待っているかはあなた次第である。
「その先」の世界を観ている者のイマジネーションに託すことで、
「終わり」を描かなくても映画はこんなにも素晴らしく、
感動的であることを、この作品は高度な表現力で伝えている。
僕の中で、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はまだ終わっていない。
だから、僕はこの映画を観て何度だって感動できるのだ。
もうすんばらしい作品である。
見えているものだけを観ているのではいけない。
この作品は、きっとあなたの中の「映画」を変える。
映画には、こんなにも限り無い夢と希望が、溢れているのだ。
これを「暗い」とか「ひどい」なんていうやつは、アホである。
これを観て、あなたのイマジネーションの限界を更に深く突き破って欲しい。

それではCDレヴュー。
先月発表された、オーストラリア出身の若き五人組のデビュー・アルバムです。

Yes Yes Vindictive
/ Operator Please

YES YES VINDICTIVE


「意味」から乖離してまで踊りたくはない
 結成のきっかけとなった高校のバンド・コンテストのノリそのままで世界に飛び出してしまったバンド、それが良くも悪くもオペレーター・プリーズの実態である。それ以上でも、それ以下でもない。ただ、だからと言って甘く見てはいけない実にあざとい連中だ。すでにシングル化された三曲が象徴的で、その名のとおりピンポン玉をぶちまけたように騒がしい“ピンポン!”、ゴシップのベスにも負けないアマンダの強烈なボーカルが吼える“ゲット・ワット・ユー・ウォント”、バイオリンの音色がやけに切なく響く“リーヴ・イット・アローン”と、どれも高速ビートとハイテンションさだけは見失わないが、ひとつの手癖に縛られない非常に多様なポップ・センスを持っているバンドだ。とにかく瑞々しくてカラフルなサウンドに身を任せていたら、気付けば体中どっぷりと浸かってしまっている。趣向は違うがジェットにしてもヴァインズにしても、オーストラリア出身の連中はみんな当然のようにポップ・ミュージックの核心に辿り着いてしまうのだが、オペレーター・プリーズもすでに自分たちの「ポップ」の意味を理解しているようだ。おまけに彼らは若い。否が応でも未来に期待してしまう。
 ただ、これはフォールズのデビュー作を聴いた時にも思ったことだが、歌っている中身は本当にどうでもいいことばかりだ。二回目以降は歌詞カードに触れる気すら起こらなかった。ロックは、いったいいつから言葉を必要としなくなったのか。すべてはクラクソンズのせいである。当初は一過性で終わると考えられていたニュー・レイヴは、ネット世代の強力な伝達力で世界中を瞬く間に席巻した。それからはどこもかしこもダンス・ロックで溢れかえっているが、その中で本当の本当にラジカルだったのは未だに発起人のクラクソンズだけである。だから正直な話、ビートやリズムよりもスタイルやトレンドに躍らせれているような気がしないでもない。そこまで陽気にはなれない。危機感。
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21:49 | 映画 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑
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コメント

# 自粛したわりにはしつこい
そうなのか

確か4月にもダンサー・イン・ザ・ダークについて書かれていたと思い
そちらも再度読んでみました....

しつこく(失礼)書いてますね~

公開当時この映画を見て、追求することもなくあまり考えずに自分の
”引き出し”に閉まってあったんですが、
幸大さんが、こう何度もしつこく(失礼)書いているところをみると
何かあるんですね

キーとなるせりふ
「ミュージカルで最後から二番目の歌が流れ始めたら席を立つの」

エンディング曲“ニュー・ワールド”

などすべて忘れてしまっていますが、

これに限らず普通に映画を見るとすると、主人公に感情移入して行きますが、
この映画の場合、
段々とたぶん耐え切れなくなるくらいの不幸に感情移入して、
さらに見続けると、見ていて耐え切れなさが限界になりそうになり、
最後に自分と一体化した主人公がもっとも起きて欲しくない状況
”ぶら下がっている"という本当に耐え切れない状態になるので、
そこで拒否反応を起こし、思考停止してしまうのだと思います。

但し、幸大さんが以前かいたように「絶望は描ききった。」

映画を見ているあんたらは紛れも無く「死んでいない」のだから
その先をその次を「生きろ」と監督は言っているのかもしれないですね。

この映画から、ただ「暗い」とか「ひどい」とは思わなかったにしろ、
まだ2度は見てない。
ただ、もういちど見ても思考停止しそうなのが心配だ。

確かに希望を見るには<イマジネーションの限界を更に深く突き破って>行く
しか無いかもなあ。

ところでその“ニュー・ワールド”の歌詞とは?
家にCDあったかもしれないなあ
見てみるか。

・映画とは関係ないけど、社会に出て大変なのはこういったことを考える時間
 が少なくなることかも。
 ついつい経験と知識の引き出しから適当な物を出して並べそうで、いかん
 と思う。
by: あむりと | 2008/06/16 23:30 | URL [編集] | page top↑
# あむりとさんへ
夢があります。
希望があります。
それを伝えるためなら、何度でもしつこく書きます。

僕の身の回りに思った以上にこの映画を観た友達がたくさんいて、
みんながみんな口裏合わせたみたいに「暗い暗い」と言うんですよ。
もう本当に何観てたん?
と直接言えない僕なので、ここで何度も書くことになるわけです。

僕はもともと、あんまり音楽にも映画にも感情移入できないタイプなんですよね。
だから、この映画を観た時に僕はもう次に何が起こるのか楽しみで楽しみで仕方なかったです。
もしかしたら変な観方しているのかもしれませんね。
正直、気持ち悪くなったりする方がよっぽど健全な反応だと思います。

あむりとさんはビョークの音楽を聴くそうですね。
なら言うまでもないと思いますが、ビョークはエゴの人です。
エゴの塊です。
しばらく前の中国でのライブで「チベット!チベット!」と叫んで問題になっていましたが、
そんな感情を逆なでするような発言をしてしまう時点で、
ビョークのエゴの強さはそうとうなものです。
作品を聴いてもわかると思います。
ビョークはまったく躊躇しません。
エゴの切っ先で、たった一人で、新しい世界を拓いてきた人です。

実は、インタビューでラース・フォン・トリアー監督は、
「この映画で描きたかったのは徹底的な絶望」と答えているんですよ。
言ってみれば、「暗い」という感想こそ監督が求めていたものなんです。
でも、それを演じたのがビョークだった。
音楽を担当したのもビョークだった。
ビョークという表現のフィルターを通過して、
この映画の本質は大きく変わったはずです。
ビョークが、絶望を絶望のままで止まらせるなんてことは考えられません。

ロックは前に進み続ける音楽です。
ビョークの場合も、それは同じです。
むしろビョークはその姿勢を積極的にとっているタイプのアーティストです。
監督のイマジネーションの限界を、この映画でビョークは完全に打ち破っています。
この映画は絶望しか描いていません。
でも、エンディング曲“ニュー・ワールド”やセルマのセリフについて考える限り、
その絶望の向こう側にはまだ「何か」が残されているようです。

“ニュー・ワールド”の歌詞ですが、
「次はいったい何が起こるのだろう。私は固唾を呑んで見守る」とか
「新しい世界を見るために」とか、
とにかくその言葉は「未来」に向けられています。
「未来」には、きっと何かがあるはずだと歌っているんです。
この映画が監督の意志に反して描いてしまったものとは、それです。
99%の絶望の後に残された、たった1%の夢と希望。
その1%の夢と希望とは、「未来」です。
「未来」を、引き出しから出してやってください。


すいません;
ちょっとお酒が入っていてほろ酔い気分なのでうまく説明できてないと思います。
貴重なアドバイスありがとうございます。
僕はただ、僕のままでいたいです。
それで進み続けたいです。
社会に出てからも。

by: 幸大 | 2008/06/17 01:58 | URL [編集] | page top↑

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