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ここ一週間、ロックを聴くのがとてもつらかった。
めんどくさかった。しんどかった。とにかくダルかった。
今も少し引きずってはいるけれど、ずいぶんマシになって、
今日はウィーザーとかラカンターズとかパール・ジャムを聴いた。
でも、この一週間は、
僕みたいな暗い男の感傷を歌っているはずのウィーザーも、
今年のベストになりうる素晴らしい新作を届けてくれたラカンターズも、
必死で前に進もうと、生きようとしているはずのパール・ジャムも、
僕には居心地が悪かった。
彼らの音楽に僕の居場所はなかった。
彼らの音楽に僕はいなかった。
ロックはデタラメだと思った。
人が沈んでいるときに助けてくれないような音楽なら、やっぱり偽物だ。
結局、ロックは人を救うことなんてできない。
だからYUKIの『PRISMIC』ばかり聴いていた。
『PRISMIC』だけには、僕の居場所があると思っているからだ。
そう自分自身を信じ込ませているからだ。

音楽と人を繋いでいるのは何なんだろうかと思う。
初めて聴いた時から5年近くも経つ『PRISMIC』を聴くということが、
なぜ今も僕の中でクリエイティヴな行為であり続けているのか。
『PRISMIC』を聴くたびに僕の頭に浮かぶのは、YUKIの姿じゃない。
過去の「思い出」であり、それに対する「思い入れ」だ。
極端な話、それがすべてである。
愛らしいYUKIの姿も、叫びも、何も関係ない。
『PRISMIC』を聴くたびに昔のことを思い出して、
その「思い出」と「思い入れ」が
自分の中の「本物」であることを確認するかのように、
毎回毎回切実な思いで聴いている。
僕が『PRISMIC』を聴く時、その向こう側には、YUKIはいない。
『PRISMIC』の向こう側には、あの人がいて、
あの人の向こう側には、「思い出」があって、
「思い出」の向こう側にいるのは、自分だ。
『PRISMIC』を聴くということは、自分自身と向き合うということだ。
昔を懐かしんでるわけじゃない。
決して未練があるわけじゃない。
ただ、僕は僕でしかない、
そのことを自分で認めるために、僕は『PRISMIC』を聴く。

ロックは誰も救わない。
『PRISMIC』だって、僕を救うことはない。
でも、『PRISMIC』を聴くと、
僕は否応無しに今の自分をその向こう側に見てしまう。
『PRISMIC』ですら僕を救ってくれないのなら、
僕を救えるのは僕だけである。
そのことを伝えるために、ロックは人間一人すらも救おうとはしないのだ。
僕はよくわからないことを言っているだろうか。
文章力のせいもあるだろうけど、
僕の言っていることがわからないのなら、
あなたはまだ「ロック」を聴いたことがないのだ。
「共感」とか「泣ける」とか「大好き」なんてレベルのものではない、
音楽とのもっと強烈な一体感。
あなたは、まだ音楽の向こう側に、自分を見ていない。

自分のすべてを懸けて肯定するほどの「思い入れ」を、
あなたはまだ音楽に見出せていない。
僕は『PRISMIC』を聴いても泣かない。
あの作品にまとわりつく悲しい思い出に触れても、僕は泣かない。
自分のために、僕は泣かない。
むしろ聴くたびに自分がまだ前に進めることを知る。
僕は今よりもまだ幸せになれる。
僕はそうやって『PRISMIC』を聴いてきたのだ。
そうやって前に進んできたのだ。
『PRISMIC』は自分だと信じ込んで、
『PRISMIC』を聴いて必死に自分を正当化して、
『PRISMIC』のデタラメにだまされ続けて、
ここまで来たのだ。

ロックは誰も救わない。
だから、僕は僕を救えるのだ。
ロックなんて嘘だ。
だから、僕は前に進めるのだ。
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21:39 | 音楽 | comments (7) | trackbacks (0) | page top↑
徹底検証 第6弾 | top | タイトルなし

コメント

# 呪われたか?
そうだ、そうだPRISMICは救ってれないし
ROCKは救ってくれない。
キリストだって、ブッタだって救ってはくれない。

全部鏡のようなもんだ。結局は自分自身を見てるんだ。
なんてね。

ロッキンJAPANでかつていまの山崎編集長と同期で一時期失踪していた
市川哲史と言う音楽評論家が数年前から復帰してたまに書いていて、
日経エンタのDVD 5-starの評のなかで、多分「PRISMIC」についてと思うけど
「(ジュディマリ以後)<いつまでたっても少女な自分>を突き詰めて突き詰め、
突き詰め続けてきた。するとその<自爆テロの数々は、時にはビョーク
以上のヘビィネスを生んで自ら死にそうになったり..云々」と書いていたよ。

PRISMICって情念でもなく他者との同調も求めず世界への思想もなく、
ひたすら鏡を見ているような自分を愛しているんだか憎んでいるんだか
すら分らず、エゴイズムむき出しで、禁欲的で実は最も強欲なアルバムだよね。

まだ聞いてるかい。
呪い殺されたかとおもったよ。
by: あむりと | 2008/06/08 02:47 | URL [編集] | page top↑
# 追記
夜中に書いたら良く分らん事になっててすまん。
市川哲史氏のYUKI評、前述の後<日本一目の据わったpops>とある。

余計なお世話ですけど、
今回の幸大さんは目が血走ってる感じがしますね。
自分に向けられる厳しさが、収まりきらず外に向かって
爆発してる感じがしますね。

by: あむりと | 2008/06/08 22:50 | URL [編集] | page top↑
# あむりとさんへ
僕みたいな若造がこんなこと言ったら怒られそうですが、
「ロック」っていうのは、一種の「死に場所探し」なんだと思いますよ。

僕は、「ビョーク以上のヘヴィネス」をYUKIが作り出したから、
「日本一目の据わったpops」だから、
『PRISMIC』を聴き続けているのではありません。
たとえプロが書いたことでも、『PRISMIC』に関しての記述はどれも僕には居心地が悪いです。
それは、僕のあのアルバムへの思いがあまりにも個人的で、
決定的に普遍性に欠けるものだから、
ただそれだけなんですけどね。

僕があのアルバムを聴き続けるのは、
僕の憧れている人が、
僕の目指している人が、
あのアルバムのことが大好きだったからです。
本当にそれだけです。
そんなシンプルな思いです。
そして、僕はその「思い入れ」のためなら、すべてを捨てられます。
実際に「じゃあ捨てろよ」と言われたら何ひとつ捨てられないヘタレですが、それで良いんです。
そうやって、「このアルバムのためなら死ねる」と自分をだまし続ければ良いんです。
僕は、きっと、それで前に進める。

ずっと聴き続けますよ。
実は滅多に聴かない、開かないアルバムなんですけどね。
日頃は、CDラックの中でおとなしくしてますよ。
滅多に開かない分、このアルバムを開く時は、それだけ必死です。
切実です。
立ち止まりそうになったら、またこのアルバムを聴くことにします。
それまでは、またしばらく封印ですね。
by: 幸大 | 2008/06/10 01:20 | URL [編集] | page top↑
# しつこくてすまんかった
言葉を選んで答えてもらって感謝します。

でも6/7の文章には、人を寄せ付けない拒絶のような、
読んだものに逃げ場すら与えないようなものがありましたよ。

おそらく面前で話をしていたらメチャメチャに論破されて俺なんか泣いて逃
げちゃってんだろうけど。

それとも、全く拒絶されるかね。

だから、茶化したり試したりという意図は全くないんですが、
市川氏批評の引用なども余計な事と知りつつ、
取っ掛かりの言葉すら思い浮かばないので、本当に余計でしたけどね。
否定してくれたので全く無駄でも無かったかなとは思いますが。

あのレビューの文章の思い、は強烈なラブレターみたいでねぇ。
ラブレターほどもっとも個人的で、しかももっとも相手に理解されなくては意味
が無いものもないですからね。

笑えますが、あれがラブレターだとすると俺もチラッと横見して受け取ってし
まったんです。
だからつい気になってしましました。
次の文章をおとなしく待ってりゃよかったんですけど....
たとえ全てが個人的なものに帰結していても、
今度はこっちが、逃がしません。(冗談)

何かに対する思いというものは、結局はとても個人的なもので、

<『PRISMIC』に関しての記述はどれも僕には居心地が悪いです。>
という気持ちは分かります。

自分の思い以外のものは結局は自分のものではないですから。

俺は、『PRISMIC』というよりYUKIそのものに関してそのように感じていまし
た。いろんな他人の感じている断片を集めてみても最終的には自分の思いに勝
るものはないでしょうから。

ただ、俺の場合言語化能力と想像力と思いが足りないんでしょうね、
あるいは正直さかな?つい人の力を借りてしまいます。

俺が衝撃を受けたあの幸大さんのあの文章もおそらくもっとも強い個人的な思
いがあったからこそなのかもしれません。

あれはYUKIや『PRISMIC』の評論ではなく最後にはYUKIは消えて自分そのもだ
ったわけなんですからね。

そしてその思いに対する疑いなき信頼。

おそらく現在は、自分に対する”信頼 ”がまたさらに
充填されたように見受けられます。

話はもどりますが、
ジャパンレビューはそこに書かれていない「背景としての幸大さんの思い
」を抜きにしても説得力がありました。

もしかしたら『PRISMIC』という、絶対的に個人的で、閉じられて、さらに
エゴイズムにあふれたアルバムを語るには、「アルバムへの思いがあまりにも
個人的で、決定的に普遍性に欠けるものだから」という思いと理解が必要なの
かも知れません。後付けですけど。

すばらしいアートはどれもとても深~く個人的ですからね。
そのあまりにも深いところには素粒子みたいな普遍的な真実の一点のみがある
んでしょう。

しかし、ここまでほんとに馬鹿正直(すまん)に答えてくれてほんとに感謝しま
す。

『PRISMIC』の向こう側にある幸大さんの思いなど俺には理解できないでしょ
うけど、それを書いてくれてほんとに別の意味で泣きそうです。

適当にお茶を濁して答えることも可能だったのにね。

<ロックは人間一人すらも救おうとはしないのだ。>
禅でいう"喝"みたいな
自分自身に気づかせるためだけに、殴られる、
まずは自分自身を見ろと。
自分で何とかしろと。

<それまでは、またしばらく封印ですね。>

そうですか、処方を間違えると一般的にもやばいアルバムだからね。
もし、『PRISMIC』から導き出されるものが、
「YUKIだって、Rockだって助けてくれないよっ」てことなら、
それは、多くのYUKIファンだって、怖気すくよ。
みんな気づきたくないんだ。そこには。
そこにはつらい作業が待ってる。

俺みたいなここ数年の通勤時にはYUKIを聞いてる奴でも、
通勤で『PRISMIC』は無いからね。

「joy」などで別方向に喝を入れるのが通常のYUKIの処方かなと思われます。
彼女のその方向も実は深いと思います。
1枚のコインの裏表です。

<死に場所探し>
のたうちまわって生きて探すんでしょうね、そこを。

禅の言葉に有ったような....

"ブッタに会ったらブッタを殺せ"

結局は己で歩いていかなくては.....


(最後まで引用で情けないけど。)

『PRISMIC』を切実に...か....

うん。





by: あむりと | 2008/06/10 16:41 | URL [編集] | page top↑
# PRISMIC
よっ∵/
今日も何となく生きてます∵/


最近は

「一体何のための服なんだ!?」

こんなことばっかり考えてます。


そして 私の中の矛盾したファッションビジネス論のお陰で(←前メールで話しよね?)


全く就職決まりません∵/ 笑



いやー 儲けることを考えてない私はアパレル業界に不要ですか?(;;)



自信はない!
でも負けないし~~~!!!!∵////
by: おっかぱガール | 2008/06/11 00:56 | URL [編集] | page top↑
# あむりとさんへ
拒絶するような感じ、あったでしょうか。
あったかもしれませんね。
でも正確に言えば、ここ最近の記事は全部「自分」に向けて、
というか標的が「自分」だったから、内に向いていたから、
そんな感じがするのかもしれませんね。
僕は、拒絶なんかしません。

あ、あと市川さんのことも、
彼の批評はまったく僕の心には届きませんが、
あむりとさんがそれを書いてくださったこと自体は何も不快に感じたりはしてませんよ!
なんだかいろいろ考えさせてしまってすいません。
むしろありがとうございます、です。
こんなに僕と関わろうとしてくださって、
話聞いてくださって、
いつもありがとうございます。

ラブレターですか笑
なんか照れますけど、ちょっと嬉しいですね笑
ありがとうございます。

『PRISMIC』への自分の思いは、何よりも信頼しています。
それは、僕が「あの人」を信頼しているからです。勝手にですけどね。
ロックはアートとか表現とか、実はそんなこぎれいなものじゃないと思っています。
宗教みたいな、排他的で胡散臭いものだと思っています。
言ってみれば「あの人」は僕の教祖様で、『PRISMIC』は教典のようなものです。
それが正しいかどうかはわかりません。
普遍的なものじゃないし、
他の人からしたら胡散臭いものであることは間違いありません。
「それでも」信じるんです。
「それでも」、です。
僕が最近の『PRISMIC』レヴューで書いた
「何かを信じる奇跡」というのは、そういうことです。
「あの人」は、普通の人です。
『PRISMIC』は、むしろ普通の作品よりも地味な作品です。
「それでも」、信じるんです。
うまく言えなくて本当にすみません。
そして、僕が「それでも」信じられるのは、
個人的な「思い入れ」があるからでしょうね。
結局はロックなんてそれがすべてでしょう。
「ポップ」も「アート」も「新しいサウンド」も「神がかり的な演奏力」も「百年に一度の歌声」も「社会的告発」も「世代の代弁者」も、
「思い入れ」には勝てません。

僕は「ポップ」のためにも「アート」のためにも、
「神がかり的な演奏力」のためにも「百年に一度の歌声」のためにも、
絶対に死にません。
僕は、自分のかけがえのない「思い出」と「思い入れ」のために死にます。
だから僕は死ぬまで『PRISMIC』が聴けるんですよ。
それがすべてなんです。

もうあむりとさんはわかっていますよね。
長々としつこくすみません。
ただ、こんなに語れるのが嬉しいのです。僕は。

本当にありがとうございます。
by: 幸大 | 2008/06/11 03:14 | URL [編集] | page top↑
# おっかぱガールへ
よっ!久しぶり!
相変わらずやっかいなこと考えてるみたいやね笑
でもなんだかんだ言って元気そうで良かった。
名前が「おっかぱ」に戻ってるしね笑

おう負けるな~!
ずっと俺の前の方で突き進んでくれないと困るからね!
こちとら『PRISMIC』なんてアルバム知ってしまったおかげで
ずいぶんと生き難くなったよ笑
責任取ってもらわなきゃ困るよ?笑
だから、絶対に負けるな。
前に進む姿見せてくださいな。

いざとなったら一緒に雑誌作ろう笑
ファッションのページは任せた!
音楽のページはもちろん俺で。
絵と、映画と、本のページと・・・・・・あぁひとりで妄想してしまった笑

コメントありがとう。
なんか元気でました。
by: 幸大 | 2008/06/11 03:24 | URL [編集] | page top↑

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