FC2ブログ

CDレヴュー

Accelerate
/ R.E.M.

アクセラレイト



本当の、新章
 巷で言われているように原点回帰のような気もするが、実は少し違う。ビル・ベリーが脱退して10年以上が経つが、それ以降に発表された『アップ』~『アラウンド・ザ・サン』を聴いても、最近のインタビューを読んでみても、彼の存在感は未だにバンドに鋭く突き刺さっているのだなと痛感させられる。『アップ』以降の3作はその重大な「喪失」を乗り越えるためのアルバムだったと言っても過言ではないわけだが、残されたメンバーは本作でようやくバンドを違う方向へと進めることができたようだ。「このアルバムがうまくいかなかった時には解散すらも考えていた」というピーター・バックの言葉が、彼らの本作にかけた思いの切実さや真っ当さを何よりもリアルに伝えている。
 ほとんど丸腰の作品である。『リヴィール』に顕著だったキーボードやストリングスはほとんど使用されていない。ピーター・バックのギターが激しいうねりを見せ、マイク・ミルズのベースがそれを器用に跳ね返し、マイケル・スタイプの言葉はその強い社会性や政治色を露わにしていく。つまり、これはある意味R.E.M.という表現の最も基本的なスタイルであり、足すことも引くことも出来ない、正真正銘のロックンロールの裸の姿である。それはまるで、バンドを始めたての「初期衝動」と呼ばれるものに似ている。未だにビル・ベリーの後姿を見つめているこのバンドにロックの火種は果たして残っているのか。それを確かめるためにも、デビューから25年が経った今、彼らはこのシンプルなロックンロールで自分たちのテンションをどこまで高めることができるかを試さなければならなかった。そして、このアルバムは彼らを新たに何でも始められる全くの「新地」へと連れて行った。これは、そういうアルバムである。
スポンサーサイト



02:42 | 音楽 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑
ハト日記③ | top | アミラーゼ

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://overtheborder.blog64.fc2.com/tb.php/347-752cf3d1