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No.8

日本では洋楽って本当に盛り上がらないな。
何年か前にジェイムス・ブラントとダニエル・パウターが異常なくらい支持されて
一時「現象」化したけど、それ以来はパッとしたヒットってないなぁ。
07年はアヴリルとフラテリスがちょっと盛り上がったぐらいか。
そりゃロック・ファンにとってはレディヘの新作の意味は計り知れないし
クラクソンズとかバトルズのデビューは衝撃的だったけど、
「趣味は……う~ん、音楽鑑賞かな」ぐらいのリスナーさえも惹きつけた人って、
去年は本当に一人も思いつかないな。

この人がまだ日本ではデビューしてなかった頃、
輸入盤のCDを友達から借りて一聴した瞬間に「コイツはくる!」と思った。
日本のデビューに先駆けて雑誌でも頻繁に取り上げられるようになったし、
リード・シングルがCMに使われてお茶の間の耳に触れる機会も増えたし、
最初の頃は予想通りの右肩上がりだったと思う。

でも、実際にアルバムがリリースされると、案外あっけなかったなぁ。
耳の早い敏感なリスナーとロック・ファンと評論家の間では好評だったけど、
あとはもうまったくの知らんぷりだったと思う。
音楽以前に人間そのものがハッキリした存在感を放っている新しい才能なのになぁ。
06年にリリー・アレンがデビューをした時にも思ったけど、
日本の音楽ファンは無難なメッセージには甘いけど過激な自我には冷たい。
日本人がロックに夢中になれないのはそこだと思う。
ロックは本来抑えきれない自我が溢れまくっているところ。
日本人は音楽にそんなやっかいなものより
シンプルに心地良いもの・無条件に楽しいものを求めてる。
だからこそコミカルな世界で自我を爆発させまくったこの人の音楽は、
そんな日本の音楽の在り方を思いっきり揺さぶる表現だったんだけどなぁ。
今のままでは絶対に終わって欲しくない。
そういう望みも込めて、No.8に選びました。

No.8
Life In Cartoon Motion / MIKA
Life in Cartoon Motion



MIKAは、こうならざるを得なかった
 リード・シングルの“グレース・ケリー”を聴くだけで、もう全てがわかると言っても過言ではないと思う。“ロリポップ”でも“マイ・インタープリテイション”でも“ビッグ・ガール”でも、もしかしたら本作収録曲のどれを聴いても瞬時に理解できるかもしれない。これはもうポップとかキャッチーとか、そんなレベルの話ではないのだ。収録曲の全てが07年をカラフルに彩るサウンドトラックに化けかねないポテンシャルでキラキラしている。「ここは楽しいよ!みんなこっちへおいでよ!」と人差し指を高々と上げて、完全にこの指とまれ状態。そして、そこには聴き手みんながその指に手を伸ばさずにはいられない、わけのわからんほど強力な引力がある。デビュー作でこれほどまでのクオリティに到達してしまうとは天才的を通り越してもうひたすら変態的だ。フレディ・マーキュリーもエルトン・ジョンも裸足で踏みつけていくみたいな“グレース・ケリー”の天真爛漫ぶりとその超絶ファルセットが耳朶に触れた瞬間、07年に舞い降りた変態ソングライター、MIKAの眩しい将来を簡単に占うことができたのはきっと僕だけじゃないはず。
 しかし、歌声はフレディを射程に捉えメロディも07年最強レベルというこの完全無欠のMIKAソングに、どこか気色悪さを感じてしまうのは僕だけだろうか。「こっちの水は甘いぞ」的な魅力に僕たちは見事におびき寄せられてしまったのではないだろうか。その感覚は、個人的にスタジオ・ジブリの宮崎駿作品を観た時の印象と激しくかぶる。根暗さ故にトトロというポップへの逃避を行った宮崎駿のように、この男にもまた己の暗さ故に明るくならざるを得なかったような切実さがある。内戦中のレバノンに生まれ抑圧された環境でしか生活できずに心は内へと向かい、小さい頃からオタク気質で友達もできなかったPenniman少年は、しだいにクラスでも浮いた存在となり実際にひどいいじめにもあっていたという。少年は、そんな周囲とのコミュニケーションを断つためにかつてその言葉を封印した。そして、音楽というコミュニケーション・ツールを新たに手にした時、かつての少年は人々から愛されることを偏執的に求め、その結果としてMIKAというポップを超えた存在へとなり得たのだ。それを自覚しているだけに怖い。07年、もっとも戦略的な1枚。
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04:35 | 音楽 | comments (2) | trackbacks (0) | page top↑
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コメント

# みかみかみーか
これがきたら、コメントしてやる!と虎視眈々と狙ってました☆笑



毎回ディスクレヴューをゆっくりと読んでるけど、今回のはかなり前半の部分で(それこそジャケットの画像が目に入る前に)、「MIKAだ!」と声に出してました笑

MIKAだ。

あたしの王子様笑

NO.1までまたドキドキしながら見守ってみます☆★


by: まほし | 2008/01/18 00:55 | URL [編集] | page top↑
#
うん、コメント来んかな、ってちょっと思ってた笑
ありがとね!

No.7も、多分わかるよ、今思うとちょっと懐かしい人。
とっても楽しそうに歌う人。

理屈もなんも関係なしに去年一番良かったのはMIKAやったよ。
この変態王子!やってくれるやないか!てなもんです笑

No.1までちゃんとできるかな・・・・・・とにかく頑張ります!

by: 幸大→まほし | 2008/01/18 03:37 | URL [編集] | page top↑

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