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Getcha Groove On

もう今年もクリスマスが終れば重要な行事はないくらい暮れに差し掛かってきましたが、
ここらで今年発表されたあらゆるアルバム、言っても僕が聴いたのだけですから数十枚ですけど、
その中からベスト3くらいまでを紹介したいと思います。
今日からひとつずつ紹介しようと思うので、今日が3位、次に更新する時が2位、
またその次に更新する時に2006年のベスト・アルバムを紹介したいと思います。
その次はベスト・ソングとかワースト・アルバムでも発表しようか、と考えてます。

全部独断と偏見で選ぶので文句はなしです。
選出には自信持ってるので、ベスト3に選ばれるアルバム3枚くらいは聴いてもらえると嬉しいです。

ではもう早速2006年第3位のアルバムを紹介したいと思います。
「続き」からどうぞ。

Happy Hollow / Cursive
Happy Hollow



 人間の異常な感情を描いた前作『The Ugly Organ』(03年)はタイトルにすらティム・ケイシャーの狂気が滲み出ていたが、今回の作品のタイトルは『Happy Hollow』。その名の通り、“幸せの谷”に暮らす人々の物語だ。タイトルだけをこうして並べて見ると、前作の成功により彼らは本来とっていた姿勢を翻してしまったかのようだが、そんなことは決してない。ティム・ケイシャーの作る楽曲は、やはり負のエネルギーから成り立っている。
 前作は一個人の内に秘められた様々な感情を含羞もなく赤裸々に描写した、心の深淵に徹底的に入り込んだ背筋の凍るような作品であった。今回ティム・ケイシャーが通算5作目となるこの作品でコンセプトの的として定めたのは、これまでグリーン・デイの『American Idiot』(04年)やフレーミング・リップスの『At War With The Mystics』(06年)などによって呈されてきた、いやむしろ、ここ数年耳にすることの多くなった形態のひとつである「現代アメリカ」というバカでかい奇病に苦悩する人々の悲劇の物語である。数多くのアーティストがこれまで躍起になって主張してきた事柄だが、ティム・ケイシャーの圧倒的な文学性を持つリリック・センスによってこの作品は、他のアーティスト達の作品とは比べ物にならない程の説得力を手に入れた。
 『Happy Hollow』の物語の登場人物はいずれも不可解な矛盾を抱えながら生きている。なぜ自分は幸せなのか。なぜ自分は不幸せなのか。その欠けてしまった何かを矛盾で補うことで、それはある人では現代アメリカの社会観であり、またある人は宗教観や倫理観で補おうとするわけだが、そうすることでまた更なる矛盾を生み出してしまう。人々はその悲惨な堂々巡りを繰り返しながら“幸せの谷”で暮らしていく。作品の設定上どうしても虚構感が強くなりすぎてしまうが、ティム・ケイシャー本人が語ったように、この作品で歌われているテーマは彼自身がアメリカで生まれ育って現在に至るまでずっと葛藤し続けた問題、つまりそういう意味ではとにかくリアリティに溢れた作品なのである。それだけに最終曲「Hymns For The Heathen」でのラストの言葉、つまりこの作品で最後の最後に歌われる詞は切実そのものだ。これまでアルバムを彩ってきた14の賛美歌をひとつずつ挙げていき、最後にティム・ケイシャーはため息のようにこう歌う。どうせなら14の賛美歌も紹介しようと思う。

一番目の賛美歌:神のコンプレックスの一人の息子
二番目の賛美歌:放蕩娘
三番目の賛美歌:知識の切り株
四番目の賛美歌:司祭の情欲
五番目の賛美歌:ユダの非情なキス
六番目の賛美歌:灰に還るソドム
七番目の賛美歌:疑い深い人の教会
八番目の賛美歌:黙示録の一頭の馬
九番目の賛美歌:無原罪の異議
十番目の賛美歌:マグダラのマリアの悪魔達
十一番目の賛美歌:締めつけられるバイブルベルト
十二番目の賛美歌:好色な羊飼い
十三番目の賛美歌:告解に身を隠す
十四番目の賛美歌:その後

幻惑のロッキング・チェアー
ねたみと悪意の緑の草
僕らの未熟な青年時代
幸せの谷の町で過ごす


今作発表前に脱退したチェリストであるグレッタ・コーン。前作では彼女の活躍が少なからず音楽的な支柱になっていたため、脱退がどのように響くか少し不安だったが、ホーンやブラス・セッションを使うことで相変わらずのダイナミックな演奏を聴かせてくれている。これまでの4作が個人の内面を描いた作品だったのに対して、急に対象が巨大なものに広がってしまったせいか、個人的には作品に対する理解が深まるのに少々時間が掛かった気がするが、詞的にも音楽的にもこれまでの壁を越えた傑作だといえるだろう。


おまけ
Cursive-Dorothy At Forty(2番目の賛美歌)
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