スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- | スポンサー広告 | comment (-) | trackback (-) | page top↑

2011年ベスト・ソング No.4

Amy, I
from the album "People and Things"
/ Jack's Mannequin

Jacks Mannequin-People And Things
七等星の隠し事
 アンドリュー・マクマホンはサムシング・コーポレイト(再結成しましたね)の頃から聴いてる個人的に思い入れのあるシンガーのひとりなので、このアルバムからは絶対に一曲選ぼうと思っていたのだけど、この歌にするか“リリース・ミー”にするか最後まで悩んだ。でも、タイトルが気に入っているので、こちらにすることに決めた。“エイミー、アイ”。たまらないもどかしさがうまく表現されたタイトルだと思う。たたみかけるピアノのメロディと共に、これほどまでの孤独を感じたことはないと語りかけるこの歌。タイトルとも共通するもどかしい言葉によって描かれた冬の景色がとても綺麗だ。氷の張った湖。歩こうと決意したそばから足元で鳴るひび割れの音。身を切り裂くような寒さにとりつかれた男が、触れるだけで壊れてしまいそうなその心を震わせながらも彼女の名前を呼ぶ、この歌のサビの絶頂感といったらない。“リリース・ミー”と迷ったのは、何かにとりつかれるということ、そしてその何かからの解放を歌うこと、まさにそれこそがアンドリュー・マクマホンというシンガーの重要なテーマのひとつのような気がしたからだ。彼の身体に巣食った病のこともそうだし、ピアノにしても、実際に演ったことのある人ならきっとわかるだろうが、あんなもん自分にとりつかれた人間にしか扱えないナルシストの楽器だ。そもそもこのジャックス・マネキンというプロジェクトは、彼の「自分自身を救う」というなんだかよくわからない決意から始まったバンドで、そしてだからこそリリースされる楽曲のすべては、まるで憑き物の落ちたような、これこそが救済なのだと思わせるほど解放感に満ちたものでなければならなかった。この歌の収録された、ジャックスとしての通算三作目となる『ピープル・アンド・シングス』でも、そこの部分はまったく変わっていない。恐らく、ピアノほど、我を忘れるような陶酔感に演奏者を溺れさせる楽器はこの世にない。そして、睡眠という行為がそうであるように、人はこの我を忘れるという感覚、意識を失うという状態にこそ、安寧を得、最上の恍惚を覚える。愛しい誰かとひとつになる、ということと似ている。それはつまり、もはや自分自身ではなくなるということだからだ。声を張り上げて、呼べば呼ぶほど明らかになる彼女との距離。意識して無意識になることが至極難しいように、ひとつになるための距離は、やはり果てしなく遠い。そんなもどかしさが胸を打つ名曲。
スポンサーサイト
13:09 | 音楽 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

2011年ベスト・ソング No.3

Killing Me
from the album "Junk Of The Heart"
/ The Kooks

The Kooks -junk of the heart
死ぬほど空を飛びたい
 昨年リリースされたザ・クークス通算三枚目となるオリジナル・アルバム『ジャンク・オブ・ザ・ハート』は、良くも悪くもファンの期待を裏切る内容の作品となった。ただ衝動に身を任せるようにギターを掻き鳴らしたファースト『インサイド・イン/インサイド・アウト』。燃えるようなバンド・サウンドで憧れを追いかけたセカンド『コンク』。その二枚の傑作アルバムに共通した、ロックンロール特有の瞬発的なスピード感。アコースティックな響きが重視された印象のある『ジャンク・オブ・ザ・ハート』は、そんな前二作に惹かれたリスナーにとっては少し物足りない作品だったかもしれない。しかし聴き込めば聴き込むほどこれはいい。前二作のドライヴ感溢れるロックンロールのスピードが獲り逃してきたものを、いま一度慎重に拾い集めていこうとしたような趣きがある。今回から大々的に導入されることとなったストリングスのアレンジも、実に緻密に織り込まれたという感じで、どの楽曲も思いついたメロディをそのまま歌にした(ファーストはまさにこれだった)というより丁寧に作り込まれたものだという印象を受ける。彼らなりの新しいギター・ポップを目指したかなりの力作だと思う。タイトル・トラックを含め佳曲揃いだが、その中でもこの“キリング・ミー”は別格にいい。ギターの音色に誘われてストリングスが花開くイントロを耳にした瞬間に、ここまできたか、とあまりの成熟ぶりに感嘆した。心の離れてしまった恋人に対する思いが歌われた感傷的な歌だが、サビの絶頂感の中で歌われる「風が彼女をさらってしまうんだろうか」という一行の歌詞とその切ないメロディが、まさに風を掴もうとするかのようなアートワークの風景とも一致して、とても感慨深い。アルバム・タイトルをどう訳すれば正確なのかはわからないが、「役立たずの心」と考えればなんとなく、わからないでもない。何かあるたびに、どきどきどきどき派手に動きやがって、自分の身体の中でここまで無駄な動きをする部分は他にないといっても間違いではない。うまくコントロールできない、手のかかるやつ。もしかしたら、心だけは、すでに自分のものではないのかもしれない。風に乗った君に、もうすっかり奪われてしまったから。そんな歌だ。
20:00 | 音楽 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

2011年ベスト・ソング No.2

The Show Goes On
from the album "Lasers"
/ Lupe Fiasco

lupe-fiasco-lasers-cover.jpg
憎まれっ子世にはばかる
 昨日紹介したパトリック・スタンプの“ディス・シティ”にフィーチャリング・アーティストとしてラップ部分で参加しているのがこの人。個人的に、2011年は古きよきソウル・ミュージックとこれまでどこか敬遠していたヒップホップに積極的に歩み寄ろうとした一年だったのだけど、その中でもある意味最も衝撃を受けたのが、ルーペ・フィアスコの見事全米一位を記録した三枚目のオリジナル・アルバムとなる『レイザーズ』に収録されたこの歌だった。初めて聴いたとき、いつかどこかで、確かに聴いたことのある音だと思った。なんだか懐かしいような、自然と優しい気持ちになれるような、ロマンチックな音色。昔の歌をサンプリングしているのかな、粋なことするなぁとのん気に耳を傾けていたのだが、すぐに気付いた。これ、モデスト・マウスじゃねーか。サンプリングとかそんなロマンチックな代物じゃない。“フロート・オン”のパクリじゃねーか! 僕を懐かしい気持ちにさせた、水面を連続して弾くようなあの瑞々しいギターの音。僕を優しい気持ちにさせた、包容力のあるあのダイナミックなホーンセクション。あぁ……酔いしれれば酔いしれるほど、これはモデスト・マウスの手法ではなかったかという猜疑の念が心に芽吹く。サビでは“フロート・オン”で最も高揚するメロディを素直になぞり、本来は「オールライト」と歌われた部分を「オールナイト」にちょこっとだけ変えて歌ってみせるという大胆な荒業を披露している。どこか常に恨みがかったような雰囲気のあるモデスト・マウスの歌を爽やかに洗いなおしたような曲調になっていて、本来からヒップホップに特有の即物的なイメージとは違ったポップ寄りな作風を得意にしていたルーペの新たな名曲として受け入れられ、アメリカでは昨年実によく売れたようだ。しかしこれはあらゆる音楽ファンの中でも特に陰湿で卑屈な人格を持つロック・ファンからは嫌われるのではと思い動画サイトのコメント欄を見てみたら、「誰もお前のショウのチケットは持っていない」とか書かれてて、案の定やり玉に挙げられていた。しかし、時はすでにゴールデンエイジ・オブ・ヒップホップ。ロックなんてもっと誰も聴いてない。パクリだパクリだとはしゃぎながらもこの歌を聴いていたら、僕はついにモデスト・マウスの“フロート・オン”が思い出せなくなった。何が言いたいのかと言うと、ヒップホップにとてつもない脅威を抱いた一年でした、ということです。
14:04 | 音楽 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

2011年ベスト・ソング No.1

This City feat. Lupe Fiasco
from the album "Soul Punk"
/ Patrick Stump

Patrick-Stump-Soul-Punk.jpg
僕の好きなものは何よりも正しい
 00年代のUSロック・シーンを見事に牽引したバンドであるフォール・アウト・ボーイ。現在は活動停止中だが、他のメンバーがそれぞれの新プロジェクトを立ち上げる中、バンドのボーカリストであるパトリック・スタンプも、2011年に初のソロ・アルバム『ソウル・パンク』をリリースした。激しいバンド・サウンドは鳴り止んだが、音階を駆けるステップに重きを置いたような軽快なリズムとメロディの配置、そして何より、めくるめく陶酔に身を浸すような彼のソウルフルなボーカルを耳にすれば、ソロになっても彼の音楽に対する美学がまったくブレていないことがわかるだろう。そんなパトリックのアルバムから、先行シングルとして発表されたこの歌を選んだ。パトリックのボーカルの魅力と言えばやはり、白人シンガーとは思えないほどの震える「こぶし」と、ソウル・シンガー顔負けのリズム感溢れるアドリブだろう。サウンドの力を借りずとも歌声だけでひとつの楽曲の絶頂を記録する彼のそのボーカリゼイションの所以を垣間見るような素晴らしい楽曲だ。まず、初めてPVを視聴したときに、あまりにげっそりと痩せこけた(ように感じられるほど)様変わりした彼のルックスに驚愕した。そんな新たな風貌と共に実にスタイリッシュに仕上がったサウンドのデザインは、R&Bやレイヴっぽい要素を取り入れつつ、彼なりのポップ・ソングに飾りなおしたようなイメージだ。しかし、そうやってダイエットに励み、売れてるラッパーをフィーチャーし、流行に気を配ってリア充ぶってみたりしても、なんというか、いまいちダサいなぁ、と思ってしまうのは、「この街、これが僕の街、愛してるんだイェーイ」とか平気で言っちゃうちょっと恥かしい言葉のセンスが原因。せっかくかき集めたリア充要素をすべて台無しにするようなどんくさい歌詞で埋め尽くされたこの歌だが、しかしだからこそ愛さずにはいられない。きっと、譲れなかったんだろう。この一年、新作よりも70年代80年代のソウル・ミュージックを積極的に聴いていた僕にはわかる。ソウルとは、好きで好きでたまらないものの前で、愚かにしか振舞えない者の魂のバイブレーションだ。血の歴史を持たない白人シンガーにもそれが宿ることを証明したような一曲。そして実際、マイケルへの憧れだけで、パトリックはこの歌声を手に入れてみせた。
12:29 | 音楽 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。